[PE053] 就職活動ストレスと人生キャリア成熟の関係
納得のいく就職活動のために
キーワード:就職活動ストレス, 人生キャリア成熟, 就職活動納得度
1.問題と目的
従来から,就職活動ストレスを和らげる方法に,身近な人によるソーシャルサポートなど外からの働きかけが提案されてきた。しかし,自己成長の側面からのストレス対処法についてはあまり研究されていない。本研究では,自己成長の1つである人生キャリア成熟に焦点を当て,就職活動ストレスを軽減する方法を提案したい。人生キャリア成熟とは,「自分のこれからの人生や生き方について,どの程度成熟した考えを持っているかを示す概念(坂柳, 1999)」である。この概念は就職活動をする上で重要であるが,これまで就職活動ストレスと人生キャリア成熟を関連づけた研究はなされていない。したがって,本研究では,両者の関係性について検討する。納得のいく就職活動をするために,人生キャリア成熟を高めることでストレスを減らすことができるのか,さらにストレスの軽減が,就職活動納得度にどのような影響を与えるのかを明らかにしたい。
2.方法
【調査対象者】
就職活動を経験したK大学学部4年生(96名)と大学院生1年生(11名)合計107名。内訳は男性57名,女性50名。また,文系79名,理系28名であった。
【調査期間】
2014年6月上旬~7月下旬に行った。
【調査項目】
「就職活動ストレスと人生キャリア成熟についてのアンケート」と称して,学年,年齢,性別,Ⅰ就職活動ストレス評価尺度(北見・茂木・森, 2009)の26項目,Ⅱ人生キャリア成熟評価尺度(坂柳, 1999)の27項目とこれに就職活動納得度評価項目を加え構成した。
3.結果および考察
3.1 就職活動ストレス
Ⅰの26項目を対象に主因子法で因子分析を行い,4因子構造が妥当であると判断した。4つストレス因子をそれぞれ「採用未決」,「就労目標不確定」,「時間的制約」,「他者比較」とした。女性は男性よりも就職活動ストレスが高いことが示された(t(105)=5.62, p<.01)。
3.2 人生キャリア成熟
人生キャリア成熟項目得点平均に性差があるか検討するためt検定を行った結果,1%水準で男女間に有意差が認められた(t(105)=3.30, p<.01)。
3.3 就職活動ストレスと人生キャリア成熟との因果関係
就職活動ストレス全体(4因子の因子得点の平均値)と人生キャリア成熟の関係を明らかにするため,相関係数を算出した結果,r=-.37(p<.01)となり,負の相関が認められた。次に,4つの就職活動ストレス因子の因子得点が人生キャリア成熟に与える影響を検討するため,強制投入法による重回帰分析を行った。その結果,人生キャリア成熟に対し「就労目標不確定(β=-.32, p<.01)」が,有意な負の標準回帰係数をもつ説明変数となることが明らかになった。
3.4 就職活動ストレスと就職活動納得度との因果関係
就職活動納得度得点平均でt検定を行ったところ,性差は有意ではなかった(t(105)=0.93, ns)。
就職ストレス全体(4因子の因子得点の平均値)と就職活動納得度の関係を明らかにするため,相関係数を算出した。その結果,r=-.37(p<.01)となり,負の相関が認められた。次に,4つの就職活動ストレス因子の因子得点が就職活動納得度に与える影響を検討するため,強制投入法による重回帰分析を行った。就職活動ストレス4因子のうち「採用未決(β=-.32, p<.01)」,「就労目標不確定(β=-.20, p<.05)」が,有意な負の標準回帰係数をもつ説明変数となることが明らかになった。
以上の結果から,納得のいく就職活動をするためには,ストレスを少なくすることが効果的である。そのためには人生キャリア成熟を高めておく必要がある。中でも「採用未決」,「就労目標不確定」ストレスを強く感じた人ほど就職活動の結果に納得していないことから,自分の将来を明確に意識させるセミナーの重要性が示されたと言える。
従来から,就職活動ストレスを和らげる方法に,身近な人によるソーシャルサポートなど外からの働きかけが提案されてきた。しかし,自己成長の側面からのストレス対処法についてはあまり研究されていない。本研究では,自己成長の1つである人生キャリア成熟に焦点を当て,就職活動ストレスを軽減する方法を提案したい。人生キャリア成熟とは,「自分のこれからの人生や生き方について,どの程度成熟した考えを持っているかを示す概念(坂柳, 1999)」である。この概念は就職活動をする上で重要であるが,これまで就職活動ストレスと人生キャリア成熟を関連づけた研究はなされていない。したがって,本研究では,両者の関係性について検討する。納得のいく就職活動をするために,人生キャリア成熟を高めることでストレスを減らすことができるのか,さらにストレスの軽減が,就職活動納得度にどのような影響を与えるのかを明らかにしたい。
2.方法
【調査対象者】
就職活動を経験したK大学学部4年生(96名)と大学院生1年生(11名)合計107名。内訳は男性57名,女性50名。また,文系79名,理系28名であった。
【調査期間】
2014年6月上旬~7月下旬に行った。
【調査項目】
「就職活動ストレスと人生キャリア成熟についてのアンケート」と称して,学年,年齢,性別,Ⅰ就職活動ストレス評価尺度(北見・茂木・森, 2009)の26項目,Ⅱ人生キャリア成熟評価尺度(坂柳, 1999)の27項目とこれに就職活動納得度評価項目を加え構成した。
3.結果および考察
3.1 就職活動ストレス
Ⅰの26項目を対象に主因子法で因子分析を行い,4因子構造が妥当であると判断した。4つストレス因子をそれぞれ「採用未決」,「就労目標不確定」,「時間的制約」,「他者比較」とした。女性は男性よりも就職活動ストレスが高いことが示された(t(105)=5.62, p<.01)。
3.2 人生キャリア成熟
人生キャリア成熟項目得点平均に性差があるか検討するためt検定を行った結果,1%水準で男女間に有意差が認められた(t(105)=3.30, p<.01)。
3.3 就職活動ストレスと人生キャリア成熟との因果関係
就職活動ストレス全体(4因子の因子得点の平均値)と人生キャリア成熟の関係を明らかにするため,相関係数を算出した結果,r=-.37(p<.01)となり,負の相関が認められた。次に,4つの就職活動ストレス因子の因子得点が人生キャリア成熟に与える影響を検討するため,強制投入法による重回帰分析を行った。その結果,人生キャリア成熟に対し「就労目標不確定(β=-.32, p<.01)」が,有意な負の標準回帰係数をもつ説明変数となることが明らかになった。
3.4 就職活動ストレスと就職活動納得度との因果関係
就職活動納得度得点平均でt検定を行ったところ,性差は有意ではなかった(t(105)=0.93, ns)。
就職ストレス全体(4因子の因子得点の平均値)と就職活動納得度の関係を明らかにするため,相関係数を算出した。その結果,r=-.37(p<.01)となり,負の相関が認められた。次に,4つの就職活動ストレス因子の因子得点が就職活動納得度に与える影響を検討するため,強制投入法による重回帰分析を行った。就職活動ストレス4因子のうち「採用未決(β=-.32, p<.01)」,「就労目標不確定(β=-.20, p<.05)」が,有意な負の標準回帰係数をもつ説明変数となることが明らかになった。
以上の結果から,納得のいく就職活動をするためには,ストレスを少なくすることが効果的である。そのためには人生キャリア成熟を高めておく必要がある。中でも「採用未決」,「就労目標不確定」ストレスを強く感じた人ほど就職活動の結果に納得していないことから,自分の将来を明確に意識させるセミナーの重要性が示されたと言える。