The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PD(65-89)

ポスター発表 PD(65-89)

Sun. Oct 9, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 市民ギャラリー (1階市民ギャラリー)

[PD74] 友人関係が対人居場所感及び対人孤独感に与える影響

共行動の友人と最も親しい友人に焦点をあてて

益川優子 (愛知学泉大学)

Keywords:友人関係, 対人居場所感, 孤独感

問題と目的
 青年期の孤独感や居場所感は友人関係に影響され(益川,2016),友人関係の中における被異質視不安は友人関係満足感を低めるとされている(髙坂,2010)。
 本研究は,中学生・高校生の普段行動を共にする友人と最も親しい友人についての類型化と,各群の対人居場所感,対人孤独感,共行動の友人に対する被異質視不安の関連を検討することを目的とした。
方   法
調査対象者 中学生416名,高校生933名(男子709名,女子649名,平均年齢15.84歳SD=1.67)
調査時期 2016年2月
調査内容 1)フェイスシート,年齢,性別,学年
2)①対人孤独感(LSO-U)(落合,1983)9項目,②普段行動を共にしている友人の有無,③「②」の質問項目に有と回答している者に対して被異質視不安項目(髙坂,2010)7項目,③最も親しい友人が「②」で回答された共行動をとる友人ではない場合のみその実像種類を尋ねる項目,④最も親しい友人に対する対人居場所感尺度(益川,2016)22項目。
結果と考察
1.共行動と最も親しい友人の有無の類型化
 普段行動を共にしている友人の有無と,有の回答者のみに対して,普段行動を共にしている友人の中に最も親しい友人の有無及びその実像種類を尋ねた回答より,「①共行動友人有,その中に最も親しい友人無」「②共行動友人有,その中に最も親しい友人有」「③共行動無」の3群に類型した。
2.被異質視不安得点の差
 共行動の有無と,共行動中に最も親しい友人有無による類型化による「①」「②」の群に対し,被異質視不安得点の比較を行った(普段行動を共にしている者の実像の種類が「恋人」としている者を除外し分析を行った)。その結果、被異質視不安項目の得点において有意な差が見られた(t(1160)=2.35,p<.05)。
 最も親しい友人が,普段行動を共にしている友人外に存在する場合,普段行動を共にしている友人に対して異質な存在として見られることに対する不安が高いことが明らかになった。
3.各類型の対人居場所感・対人孤独感との差
 各類型を独立変数とし,対人居場所感の下位尺度の得点,対人孤独感得点を従属変数とする一元配置分散分析を行った結果,対人居場所感の4因子及び対人孤独感全てに有意な差がみられた(Table 1)。
 多重比較の結果,最も親しい友人が普段行動を共にしている友人ではなく他に存在する者は,その対象者に対しての対人居場所感が強くなることが明らかとなった。対人居場所感は普段行動を共にしている友人がいるだけで得られるものとは言いがたく,最も親しい友人と思える友人が存在してこそ得られるものであるということが考えられる。また,普段行動を共にしている友人の中に最も親しい友人がいる場合は,対人孤独感が強くなることが明らかになった。この結果より,対人孤独感は日常行動を共にしている友人関係の状況に影響されるということが考えられる。