The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PF(01-64)

ポスター発表 PF(01-64)

Sun. Oct 9, 2016 4:00 PM - 6:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PF09] 幼児期初期における「じぶん」の認知について

鏡像反応と発達診断との関連性について

高木玉江 (大阪健康福祉短期大学)

Keywords:自己認知, 鏡像反応, 発達検査

 幼児期初期について観察をしていると,子どもがひとりで鏡をのなかに写っている自分の像をみて,じっと見入っている姿と遭遇することがある。その時に大人が同じ鏡を通して言葉をかけてみたり,顔の部位を動かすとより興味深くみることがある。このように自らが気づいて鏡に映る人が,自分であると捉えていく時期は,幼児期初期から認識していくと言われている。自分の存在を認知していると確認した時には,自分を主体的に捉えることができ,主体的自己が形成されると言われている(柏木,1983)。この主体的自己である自分の存在を認知しているかどうかは,今までに研究がなされてきた。それは,鏡に映った自分の像が認識できるかどうかで確認していく研究方法(Gallp,1970: Zazzo1993)である。幼児期初期では,鏡に映った自分の像の認知は,自分の像が認知できる前に,先ず他人についての認識の方が先行する(百合本,1981,木下2001)。それは,他人はすでに外界対象として認知してきた経験があるために客観的属性を把握しやすく,実際の人物ではなく,その映っている他人の姿だと認めるのが容易であるからである。鏡の自己の映像認識と社会的経験との関連性が自認知には大きな鍵をもち,自分の認識の発達にとって重要な関連性がある(百合本,1981)。これまでは,自己認知が明確になる時期と他人を認知する時期は関連性をもち,18か月から24か月までに自分の額についたマークを取る反応があり,鏡の前で鏡像と遊ぶ姿がみられ,自分の像の認知が自分と認識していくことが明確化していくと言われている(木下2001)。
 そこで本実験では,鏡像反応を段階的に4つのパターンに分け,発達段階との関係性を見た。そして,自己像の認知がいつ頃から発生していくのかということを鏡像反応と年齢との関係から発達検査の下位項目との関係性を分析した。
方   法
 対象児童-1歳6か月から2歳11か月の幼児45名。手続き:児童の額に赤いシールを貼り行動反応を記録。VHSで行動回数と試行数,発声言語を録画し,データーを作成して分析。場所:京都市内の保育園で20分程度の実験を行った。認知発達との相関を分析していくため発達検査である新版K式発達検査2001の課題を使用した。
結   果
 鏡像反応行動を下記のとおり4つのパターンに分け分析した。パターン1:シールを取るパターン2:頭,顔周辺を触るパターン3:鏡を叩く,指さす,パターン4:鏡の中の自分を注視するという反応である。
考   察
 鏡像反応であるパターン3鏡の中の自己に気づくからパターン2の自己の身体に触る反応間には質的な変化がみられた。鏡に映るひとが「じぶん」と認知するには,社会的経験と対人関係との関係性が深く関係していると言え,今後,発達検査の反応内容の検討もしていく必要がある。
参考文献
柏木恵子 (1983). 子どもの「自己」の発達,東京大学出版会
木下孝司 (2001). 幼児は自己映像を“自分のこととして見ているのか?,神戸大学発達科学部研究紀要,8巻2号
百合本仁子 (1981). 1歳児における鏡像の自己認知の発達.教育心理学研究,29,261-266