The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PF(01-64)

ポスター発表 PF(01-64)

Sun. Oct 9, 2016 4:00 PM - 6:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PF47] 教師のリーダーシップのM機能についての日中比較

金明汶1, 田中俊也2 (1.関西大学, 2.関西大学)

Keywords:リーダーシップ, 学級風土, M機能

目   的
 教師のリーダーシップについては三隅(1989)によってPM理論が提唱され,集団の機能的要件としての集団目標達成機能(P機能)と集団維持機能(M機能)が挙げられた。金(2014)によって,M機能の発揮はP機能の発揮に較べて学級風土各因子の得点との関連が強く,M得点の高さによって学級風土ポジティブ因子とネガティブ因子の得点の高さが逆転していることが示唆された。したがって本研究では,学級風土に対して大きな影響力を持つと思われる教師のリーダーシップのM機能に焦点を当てて日中比較を行う。
方   法
調査時期と対象 2014年5月~12月,日中の小学校教師184名(日本82名(女46人,男35人,不明1人),中国102名(女94人,男8人)。
調査方法 第一筆者の知人を通じて日中の小学校教師を対象に質問紙調査を行った。
質問紙 「教師リーダーシップ行動測定尺度」(三隅,1989)を元に,第一筆者が訳した中国語版を日本語に熟達している中国人留学生等4名のチェックを経て作成したもの。
結   果
1.調査協力教師の諸属性
 184名の教師を教職歴で分類したところ,初任教師(教職歴1~10年)が69名(日本31名,中国38名),中堅教師(教職歴10~20年)が64名(日本25名,中国39名),ベテラン教師(教職歴20年以上)が51名(日本26名,中国25名)であった。
2.M得点における教職歴・国の効果
 M得点におけるキャリアと国の主効果を検討した結果が表1の通りである。
 表1より国の主効果が見られた。図1の通り,日本より中国のほうが得点が高いことが分かった。
考   察
 日本の教師のキャリア調査の結果,一校での平均勤続年数が教歴の長短にかかわらずほぼ一定であり,10年以上継続して勤務した教師は皆無であった(田中・梶田,1995)。中国の場合は,一校で定年まで勤務することが一般的であり,クラス担任の異動もほぼない。このことから,中国の教師は学校の異動がないのでより地域社会とのかかわりが深く,クラス担任の異動がないのでクラスの子ども全員の家庭事情までよく知り,子どもの学習場面だけではなく,生活場面への配慮も多いことが推測できる。そのため,中国の教師のほうが自分のM機能を発揮していると認知したと考えられる。
文   献
金 明汶(2014).学級風土と担任教師のリーダーシップの関係性 心理学叢誌 11,21-35.
三隅二不二・矢守克也(1989).中学校における学級担任教師のリーダーシップ行動測定尺度の作成とその妥当性に関する研究 教育心理学研究 37,46-54.
田中俊也・梶田正巳(1995).教師の教育力を高める 祖父江孝男・梶田正巳編 日本の教育力 第4章 金子書房 Pp.76-99.