[PF51] いじめ傍観者の援助行動への抑制要因
Keywords:いじめ, 傍観者, 援助抑制要因
問題と目的
今日,いじめ問題は学校教育における問題としてだけではなく,現代社会における一つの大きな課題として早急に解決を求められている。森田(1986)「いじめ集団の四層構造理論」によって,いじめの中では,加害者,被害者,観衆,傍観者が存在している。いじめをめぐる心理学的な研究は,全体的にいじめの当事者である被害者と加害者のパーソナリテイに着目し,両者の理解を深めるための研究が多く見受けられるが,1996年代頃からは,傍観者といった第三者に着目した研究が実施されている。山崎(1996)は小学生を対象とした傍観者の「援助抑制要因」について研究を行った。結果,「関与の否定・被害者への帰属・事態の肯定・恐怖に対する防衛・他者への評価懸念・問題の否認」の6つの因子を抽出している。さらに,大坪(1999)は,小学生を対象とした質問紙調査をもとに,傍観者の被害者への援助抑制理由には「事態肯定」,「被害者への帰属」,「いじめへの恐怖」,「評価懸念」,「事態の悪化への懸念」,「事態解決の糸口のなさ」という6つがあることを明らかにしている。しかし,これらの研究ではいじめの種類(身体的いじめ・言語的いじめ・ネットいじめ)による傍観者の援助行動の違いについて言及されていない。そこで,本研究では,いじめの種類によって,傍観者がいじめの援助行動への抑制要因を明らかにすることを目的とした。
方 法
調査期日 調査は2016年4月に実施した。
調査対象 日本の埼玉県立高等学校の生徒82名(男子34名,女子48名)で,平均年齢16.57歳であった。
質問紙の作成
本調査では,山崎(1996)と大坪(1998)の傍観者の援助抑制要因項目を参考して,50項目を作成し,質問紙にまとめた。
結 果
得られた回答について,9項目を削除して,いじめの種類によって別々に探索的因子分析を実施した(主因子法,プロマックス回転)。
1.身体的いじめ
因子分析の結果,4因子をした(Table 1)。第1因子を「事態の肯定」と名付け,第2因子を「いじめへの恐怖」,第3因子を「関与の否定」,第4因子を「被害者への帰属」と名付けした。
2.言語的いじめ
因子分析の結果,4因子をした(Table 2)。第1因子を「被害者への帰属」と名付け,第2因子を「いじめへの恐怖」,第3因子を「事態の肯定」,第4因子を「関与の否定」と名付けした。
3.ネットいじめ
因子分析の結果,5因子をした(Table 3)。第1因子を「事態の肯定」と名付け,第2因子を「関与の否定」,第3因子を「いじめへの恐怖」,第4因子を「評価懸念」と名付け,第5因子を「被害者への帰属」と名付けした。
今日,いじめ問題は学校教育における問題としてだけではなく,現代社会における一つの大きな課題として早急に解決を求められている。森田(1986)「いじめ集団の四層構造理論」によって,いじめの中では,加害者,被害者,観衆,傍観者が存在している。いじめをめぐる心理学的な研究は,全体的にいじめの当事者である被害者と加害者のパーソナリテイに着目し,両者の理解を深めるための研究が多く見受けられるが,1996年代頃からは,傍観者といった第三者に着目した研究が実施されている。山崎(1996)は小学生を対象とした傍観者の「援助抑制要因」について研究を行った。結果,「関与の否定・被害者への帰属・事態の肯定・恐怖に対する防衛・他者への評価懸念・問題の否認」の6つの因子を抽出している。さらに,大坪(1999)は,小学生を対象とした質問紙調査をもとに,傍観者の被害者への援助抑制理由には「事態肯定」,「被害者への帰属」,「いじめへの恐怖」,「評価懸念」,「事態の悪化への懸念」,「事態解決の糸口のなさ」という6つがあることを明らかにしている。しかし,これらの研究ではいじめの種類(身体的いじめ・言語的いじめ・ネットいじめ)による傍観者の援助行動の違いについて言及されていない。そこで,本研究では,いじめの種類によって,傍観者がいじめの援助行動への抑制要因を明らかにすることを目的とした。
方 法
調査期日 調査は2016年4月に実施した。
調査対象 日本の埼玉県立高等学校の生徒82名(男子34名,女子48名)で,平均年齢16.57歳であった。
質問紙の作成
本調査では,山崎(1996)と大坪(1998)の傍観者の援助抑制要因項目を参考して,50項目を作成し,質問紙にまとめた。
結 果
得られた回答について,9項目を削除して,いじめの種類によって別々に探索的因子分析を実施した(主因子法,プロマックス回転)。
1.身体的いじめ
因子分析の結果,4因子をした(Table 1)。第1因子を「事態の肯定」と名付け,第2因子を「いじめへの恐怖」,第3因子を「関与の否定」,第4因子を「被害者への帰属」と名付けした。
2.言語的いじめ
因子分析の結果,4因子をした(Table 2)。第1因子を「被害者への帰属」と名付け,第2因子を「いじめへの恐怖」,第3因子を「事態の肯定」,第4因子を「関与の否定」と名付けした。
3.ネットいじめ
因子分析の結果,5因子をした(Table 3)。第1因子を「事態の肯定」と名付け,第2因子を「関与の否定」,第3因子を「いじめへの恐怖」,第4因子を「評価懸念」と名付け,第5因子を「被害者への帰属」と名付けした。