1:00 PM - 3:00 PM
[PB19] 自由度の高い学習状況の活用にかかわるスキル
CPFOSTを用いた検討
Keywords:学習, スキル, 計画された偶発性理論
目 的
本研究では,自由度の高い学習状況の活用と境遇活用スキルとの関連について検討する。境遇活用スキルは,キャリア研究におけるPlanned Happenstance理論を背景としたもので,自らがおかれた境遇への対処,活用のためのスキルとされる(高綱他,2014,浦上他, 2017)。「興味探索スキル」「継続スキル」など6つの下位概念から構成されており,論理的には,自由度が高い学習状況においては,これらのスキルを保持しているほどそれを有効に活用できると考えられる。
方 法
調査対象等
2014年度からの心理学の入門的概論科目(1年次配当の必修科目)の受講生。14年度90名,15年度105名,16年度97名を分析対象とする(男69,女222,不明1)。初回および最終回に調査を実施した。15回の授業のうち6回が,自由度の高い学習状況に該当する。それらの回は,教科書の当該分野を読み,さらに知りたいと思う内容を設定して,資料等でさらに調べてペアで発表し合う。発表の内容や質,量に関しては制限がなく,またそれを授業担当者に見せる必要もないため学習の自由度が高いといえよう。机間巡視からは,学習への取り組みにはかなりの多様性があるように思われる。
調査内容
初回授業時:境遇活用スキルを測定するCPFOST(旧名称6SC)
最終回授業時:自由度の高い学習状況の利用に関する調査(Table 1参照:4段階評定)
結果と考察
CPFOSTの基礎統計量等はTable 1に示すとおりである。「継続」において有意な性差が,「開始」において年度差が認められたが,その差はあまり大きなものではないと判断できたため,全対象をひとつのサンプルとして分析を行った。CPFOSTと学習状況の関連については,ポリシリアル相関係数で求めた(Table 1)。
Table 1に示されるように,得られた相関係数はそれほど強いものではない。しかし,全体の傾向から,関連としては弱いながらも境遇活用スキルを持っていることは自由度の高い学習状況をより有効に活用できる傾向にあることが示唆される。
下位尺度ごとにみると,学習状況項目との関係は論理的に納得できる点が多い。たとえば,「継続」と「もう少し時間をかけてじっくりと調べてみたいと思った」,「紐帯」と「ペアの人と議論することは面白かった」などである。スキル別にみると,このような状況では「興味探索スキル」や「紐帯スキル」の影響範囲が広いともいえるだろう。さらに,「講義形式の授業の方が学びが多いと思った」とはほぼ無相関であるが,「このような学び方は自分に合っていると思った」とは相対的に高い正の値が認められていることなども踏まえると,自由度の高い学習状況において,境遇活用スキルは有益に作用し得るといえるだろう。加えてこのような結果は,CPFOSTの予測的妥当性を示唆しているとも考えられる。
本研究では,自由度の高い学習状況の活用と境遇活用スキルとの関連について検討する。境遇活用スキルは,キャリア研究におけるPlanned Happenstance理論を背景としたもので,自らがおかれた境遇への対処,活用のためのスキルとされる(高綱他,2014,浦上他, 2017)。「興味探索スキル」「継続スキル」など6つの下位概念から構成されており,論理的には,自由度が高い学習状況においては,これらのスキルを保持しているほどそれを有効に活用できると考えられる。
方 法
調査対象等
2014年度からの心理学の入門的概論科目(1年次配当の必修科目)の受講生。14年度90名,15年度105名,16年度97名を分析対象とする(男69,女222,不明1)。初回および最終回に調査を実施した。15回の授業のうち6回が,自由度の高い学習状況に該当する。それらの回は,教科書の当該分野を読み,さらに知りたいと思う内容を設定して,資料等でさらに調べてペアで発表し合う。発表の内容や質,量に関しては制限がなく,またそれを授業担当者に見せる必要もないため学習の自由度が高いといえよう。机間巡視からは,学習への取り組みにはかなりの多様性があるように思われる。
調査内容
初回授業時:境遇活用スキルを測定するCPFOST(旧名称6SC)
最終回授業時:自由度の高い学習状況の利用に関する調査(Table 1参照:4段階評定)
結果と考察
CPFOSTの基礎統計量等はTable 1に示すとおりである。「継続」において有意な性差が,「開始」において年度差が認められたが,その差はあまり大きなものではないと判断できたため,全対象をひとつのサンプルとして分析を行った。CPFOSTと学習状況の関連については,ポリシリアル相関係数で求めた(Table 1)。
Table 1に示されるように,得られた相関係数はそれほど強いものではない。しかし,全体の傾向から,関連としては弱いながらも境遇活用スキルを持っていることは自由度の高い学習状況をより有効に活用できる傾向にあることが示唆される。
下位尺度ごとにみると,学習状況項目との関係は論理的に納得できる点が多い。たとえば,「継続」と「もう少し時間をかけてじっくりと調べてみたいと思った」,「紐帯」と「ペアの人と議論することは面白かった」などである。スキル別にみると,このような状況では「興味探索スキル」や「紐帯スキル」の影響範囲が広いともいえるだろう。さらに,「講義形式の授業の方が学びが多いと思った」とはほぼ無相関であるが,「このような学び方は自分に合っていると思った」とは相対的に高い正の値が認められていることなども踏まえると,自由度の高い学習状況において,境遇活用スキルは有益に作用し得るといえるだろう。加えてこのような結果は,CPFOSTの予測的妥当性を示唆しているとも考えられる。