日本教育心理学会第59回総会

講演情報

ポスター発表 PB(01-83)

ポスター発表 PB(01-83)

2017年10月7日(土) 13:00 〜 15:00 白鳥ホールB (4号館1階)

13:00 〜 15:00

[PB21] 保育系学部女子学生におけるピアノ学習に対する意識

入学後1年間の変化から

富山尚子 (東京成徳大学)

キーワード:ピアノ学習, 動機づけ, 成功体験

問   題
 幼稚園教諭免許や保育士資格の取得を目指す学生は,卒業までに必要なピアノの実技能力を身につけなければならない。入学前のピアノの学習経験が少ない学生にとっては,4年間という限られた期間で,現場で通用するピアノの実技能力を習得することは容易ではなく,かなりの継続的な努力を要すると考えられる。どうすれば,初心者でも,モチベーションを維持しながらピアノ学習に臨むことができるのか。本研究では,ピアノ学習へのモチベーションを維持するための要因を,ピアノの習熟度レベルを考慮しながら,縦断的研究によって特に初心者レベルの学生にとって,ポジティブな連鎖を続けていくためには何が必要であるのかについて,より詳細に探索していく。
方   法
1. 調査対象
保育系大学1年生。3回の調査すべてに完全回答した女子80名を今回の分析対象とした。
2. 調査時期および調査方法
2015年4月,7月,2016年1月に調査を実施。授業時間内に調査用紙を配布し,その場で回収した。
3. 調査内容
(1)ピアノ学習に対する意識を測定する項目(18項目)(3回の調査に共通):学習動機,学習統制感の観点から測定する尺度(5段階評定)。
(2)ピアノの授業に対するモチベーションに関わる項目(3項目)(3回に共通):成功体験,モチベーション維持,授業内容の理解(5段階評定)。
(3)ピアノに関わる項目(3項目)(3回に共通):
1週間のピアノ練習時間,楽譜が読める程度,自分で考えるピアノが弾ける程度。
(4)ピアノ学習に関わる項目(3項目)(7月・1月調査):ピアノの授業の楽しさ,前回よりもピアノが好きになったか,ピアノの練習量増えたか。
結   果
 入学時の本人のピアノレベルに関する認識が
低い群では,練習量の増加と直接的に関連するものは少なかったが,モチベーションの維持は練習量の増加と関連していた。そしてモチベーションの維持に繋がるのは,ピアノを好きになることやピアノの授業を楽しいと感じること,成功体験であった。
 本研究の結果から,成功体験を感じるには,どのレベルの学習者でも,ピアノ学習を長く続ける必要があると考えられたが(7月時点では意識できず,1月時点では意識できた),練習に対するモチベーションが,ピアノレベルに関わらず学習開始から1年の間,維持できたことが示された。ピアノレベルに関する認識が低い学習者でも,適切な指導によって,ピアノを好きになることや楽しさを感じながらピアノを練習し,学習をすることで成功体験を重ねることができれば,学習へのモチベーションを維持でき,ピアノの練習量も増加すると考えられる。