日本教育心理学会第59回総会

講演情報

ポスター発表 PH(01-78)

ポスター発表 PH(01-78)

2017年10月9日(月) 13:00 〜 15:00 白鳥ホールB (4号館1階)

13:00 〜 15:00

[PH71] 教育実習における心理的ストレス反応に関する研究

居場所感と教育実習ストレッサーの及ぼす影響

迫田一城1, 今林俊一2 (1.鹿児島大学大学院, 2.鹿児島大学)

キーワード:ストレス, 居場所感, 教育実習

問題と目的
 教育実習は実習生にとってストレスフルな場であり,対処することが容易ではない出来事である。 三島・林・森(2011)は,実習後に実習生の実習班における居場所感が高まり,また高める要因は指導教員や実習生同士の関わりであることを示した。教育実習において実習班での人間関係は,実習生にとって重要であることが分かる。
 本研究では,実習中における居場所感やストレッサーが心理的ストレス反応にどのような影響を及ぼすのか検討する。
方   法
 K大学の教育学部生で,小学校教育実習を行った学生97名。
 実習開始前,実習期間中(1週目, 4週目),実習終了後の4回調査を行った。調査項目は,実習班の居場所感尺度31項目(三島ら,2011),教育実習ストレッサー尺度33項目(坂田ら,1999),心理的ストレス反応尺度18項目(鈴木ら, 1997)。
結果及び考察
 実習における居場所感と教育実習ストレッサーが心理的ストレス反応に及ぼす影響を検討するため,「居場所感」の得点,「教育実習ストレッサー」の得点を説明変数に,心理的ストレス反応の得点を目的変数にした重回帰分析を行った。その結果,実習期間中を通して,実習班における役割感(実習班における自己有用感)が実習生の無気力感を抑制する働きを持っていることが分かった(Table1,2)。さらに,共感性もまた実習期間中(4週目)において実習生の不機嫌・怒り感を抑制する働きを持っていることが分かった(Table2)。しかしながら,実習終了後の場合,どの居場所感も全ての心理的ストレス反応因子に影響を及ぼしていなかった(Table3)。これらのことから,居場所感が心理的ストレス反応を抑制する機能として影響を及ぼすのは実習期間中であることが明らかになった。実習期間中(1週目)において共感性が抑うつ・不安感を高める働きを持つことが分かった(Table1)。
 また,調査の時期ごとに心理的ストレス反応への教育実習ストレッサーの各因子の影響の現れ方が異なることが分かった(Table1,2,3)。実習期間中(1週目)においては,対実習生や実習業務のストレッサーが,実習期間中(4週目)においては,対教員のストレッサーが,実習終了後においては,対児童・生徒や対実習生のストレッサーが,心理的ストレス反応と関係していることが明らかになった。