[PA11] 視覚障がい幼児の情動発達アセスメントに関する研究
幼稚園児(典型発達児)との比較を通して
キーワード:幼児期, 視覚障がい, アセスメント
問題と目的
保育・教育場面において,発達障がいのある子どもや「気になる」子どもの理解が求められている。知能検査による認知の遅れやアンバランスさはひとつの理解の方法であるが,集団適応の課題の場合,そこから具体的な支援につながらない場合も多い。視覚障がいのある子どもの場合においても,認知的側面と合わせて,情動・社会性発達アセスメントスケールを開発しそれに基づく社会性発達の側面からの理解と支援の方向性について検討することが必要と考える。
方 法
1. 調査対象:幼稚園児(典型発達児)及び視覚障がいのある幼児に対しての情動・社会性発達チェックリストを実施した。幼稚園児(典型発達児)は保護者,視覚障がいのある幼児は療育担当者に記入してもらった。幼稚園児(典型発達児)101名(男子51名,女子50名),視覚障がい児45名(男子21名,女子24名),計146名のデータを得た。
2. 調査期間:2017年10月~12月
3. 調査内容:(1)基本情報:年齢,性別,視覚障害の程度。(2)質問内容:6つのカテゴリー,集団生活(10項目),子ども同士の関係(10項目),言語(10項目),認識(10項目),感情(10項目),運動・操作(10項目)からなる。質問項目は1歳から5歳までの発達段階で構成された。「○印:明らかにできるもの(過去においてできたもの),「×印:明らかにできないもの(できたりできなかったりするもの)」「△印:できるかどうかわからないもの」で記入された。
結果と考察
1. 幼稚園児(典型発達児)と視覚障がい幼児の比較
集団生活(10項目),子ども同士の関係(10項目),言語(10項目),認識(10項目),感情(10項目),運動・動作(10項目)について,「できていない」0ポイント,「不明確」1ポイント,「できている」2ポイントとして合計得点を求めた。5歳の幼稚園児(典型発達児)46名と視覚障がい幼児8名の平均得点を独立したサンプルのt検定を行った。その結果,いずれの領域においても幼稚園児(典型発達児)の平均得点が有意に高かった(Table 1)。
2. 年齢進行に関連した得点の傾向
視覚障がい幼児の得点は,個人差が大きく,しかも年齢が上がるにしたがって個人差が大きくなる傾向が示された。一方,幼稚園児(典型発達児)は年齢が上がるにしたがって個人差が小さくなる傾向が示された。
3. 全盲児と弱視児との比較
全盲児と弱視児とでは,いずれのカテゴリーにおいても平均得点に有意差はなかった。このことから視覚障がいの程度だけが,個人差の事由となっていと考えられた。
これらのことから,視覚障がい幼児は、早期からのアセスメントの実施と支援の在り方の検討が必要と考えられた。
保育・教育場面において,発達障がいのある子どもや「気になる」子どもの理解が求められている。知能検査による認知の遅れやアンバランスさはひとつの理解の方法であるが,集団適応の課題の場合,そこから具体的な支援につながらない場合も多い。視覚障がいのある子どもの場合においても,認知的側面と合わせて,情動・社会性発達アセスメントスケールを開発しそれに基づく社会性発達の側面からの理解と支援の方向性について検討することが必要と考える。
方 法
1. 調査対象:幼稚園児(典型発達児)及び視覚障がいのある幼児に対しての情動・社会性発達チェックリストを実施した。幼稚園児(典型発達児)は保護者,視覚障がいのある幼児は療育担当者に記入してもらった。幼稚園児(典型発達児)101名(男子51名,女子50名),視覚障がい児45名(男子21名,女子24名),計146名のデータを得た。
2. 調査期間:2017年10月~12月
3. 調査内容:(1)基本情報:年齢,性別,視覚障害の程度。(2)質問内容:6つのカテゴリー,集団生活(10項目),子ども同士の関係(10項目),言語(10項目),認識(10項目),感情(10項目),運動・操作(10項目)からなる。質問項目は1歳から5歳までの発達段階で構成された。「○印:明らかにできるもの(過去においてできたもの),「×印:明らかにできないもの(できたりできなかったりするもの)」「△印:できるかどうかわからないもの」で記入された。
結果と考察
1. 幼稚園児(典型発達児)と視覚障がい幼児の比較
集団生活(10項目),子ども同士の関係(10項目),言語(10項目),認識(10項目),感情(10項目),運動・動作(10項目)について,「できていない」0ポイント,「不明確」1ポイント,「できている」2ポイントとして合計得点を求めた。5歳の幼稚園児(典型発達児)46名と視覚障がい幼児8名の平均得点を独立したサンプルのt検定を行った。その結果,いずれの領域においても幼稚園児(典型発達児)の平均得点が有意に高かった(Table 1)。
2. 年齢進行に関連した得点の傾向
視覚障がい幼児の得点は,個人差が大きく,しかも年齢が上がるにしたがって個人差が大きくなる傾向が示された。一方,幼稚園児(典型発達児)は年齢が上がるにしたがって個人差が小さくなる傾向が示された。
3. 全盲児と弱視児との比較
全盲児と弱視児とでは,いずれのカテゴリーにおいても平均得点に有意差はなかった。このことから視覚障がいの程度だけが,個人差の事由となっていと考えられた。
これらのことから,視覚障がい幼児は、早期からのアセスメントの実施と支援の在り方の検討が必要と考えられた。