日本教育心理学会第60回総会

講演情報

ポスター発表

[PE] ポスター発表 PE(01-71)

2018年9月16日(日) 13:30 〜 15:30 D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号13:30~14:30 偶数番号14:30~15:30

[PE15] 一桁たし算の同数効果

被加数・加数別の検討

後藤聡 (北海学園大学)

キーワード:一桁たし算, 同数効果

目  的
 一桁たし算(被加数,加数が一桁のたし算)の同数(被加数,加数が同じ数)問題には,それ以外の問題と比較して同数効果(反応時間は同数問題の方が小さい)があるか,繰り上がりの有無を分けて発達的に検討する。

方  法
対象:小学校1年生39名,2年生38名
方法:パソコンを用いて被加数が0~9,加数が0~9の一桁たし算100問の回答を求めて反応時間を測定した。

結果と考察
 計算不能の2年生1名の結果を除外した。また,両学年とも被加数,または加数が0の問題は他方の数に関係なく反応時間に差がないという特性があったため分析から除外した。
繰り上がりのない問題(答10以下),ある問題(答11以上),学年,同数,同数以外,被加数,加数を区別して反応時間の平均値(sec)を表に示した。
繰り上がりの有無を分けて,同数と同数以外の問題の反応時間について,同数問題が存在する被加数,加数の問題のみを用いて学年差を含めて分析した。
 繰り上がりのない問題について,同数問題が存在する被加数1~5を用いて2(学年:1年・2年)×2(同数:同数・同数以外)×5(被加数:1~5)の分散分析を行ったところ,学年の主効果(F(1,75)=20.199,p<.01),同数の主効果(F(1,75)=15.878,p<.01),被加数の主効果(F(4,300)=7.573,p<.01)が有意であった。多重比較を行った結果,2年より1年,同数より同数以外,被加数1より2~4,5より3・4の反応時間が大きかった。
 同様,加数1~5を用いて2(学年:1年・2年)×2(同数:同数・同数以外)×5(加数:1~5)の分散分析を行ったところ,学年の主効果(F(1,75)=19.722,p<.01),同数の主効果(F(1,75)=13.196,p<.01),加数の主効果(F(4,300)=5.279,p<.01)が有意であった。多重比較を行った結果,2年より1年,同数より同数以外,被加数1より2~4の反応時間が大きかった。
 繰り上がりのある問題について,同数問題が存在する被加数6~9を用いて2(学年:1年・2年)×2(同数:同数・同数以外)×4(被加数:6~9)の分散分析を行ったところ,学年の主効果(F(1,75)=21.939,p<.01)が有意で,2年より1年の反応時間が大きかった。
 同様,加数6~9を用いて2(学年:1年・2年)×2(同数:同数・同数以外)×4(加数:6~9)の分散分析を行ったところ,学年の主効果(F(1,75)=24.115,p<.01)が有意で,2年より1年の反応時間が大きかった。
 以上より,繰り上がりがない問題に同数効果は見られたが,繰り上がりのある問題には見られなかった。