[PE57] 中学生の被援助志向性を高めるための効果的な手だての在り方
キーワード:被援助志向性, 援助に対する懸念・抵抗感,
目 的
中学生は相談員やスクールカウンセラーと相談する機会が少ないのが現状である。自分に悩みや困り感を抱いても,それを周囲の友達や大人に知られるのが恥ずかしいという感情が働く。児童期の子どもが,他の子どもは権威的人物からどうみられているのか,お互いにどう見ているか目の当たりにする(サリバン,1991)と指摘しているように, 小学生になると他人からどう見られて評価されているのか気になるという発達の特性も影響する。そのために援助要請に至らないことがある。さらに,先行研究では発達的観点を取り入れた援助要請研究の知見から発達段階に即した援助要請への適切な介入方法を開発することである(本田,2015),プログラム介入前と介入後ではカウンセラーの援助に対して肯定的にとらえるようになった可能性がある(水野,2012)と述べている。そこで,中学生の被援助志向性を高めるためには,小学生の段階でカウンセラーとの接触の機会を設けることで,カウンセラーの援助に対して肯定的にとらえて被援助志向性が高まると仮定し検証を行った。
調査対象 A県の公立中学校1年生111名,2年生143名,3年生152名
尺度 被援助志向性尺度(山口,2015) 11項目,2因子4件法で回答を求めた。
内容 調査は2月から4月に実施した。2月(中学校に入学する2か月前)にA中学校の校区内にあるB小学校の6年生56名に対して事前に質問紙調査を行った。次にカウンセラーはその対象クラスの授業を見学して一緒に学習活動に参加し,その後数日間に分けて56名と一人ずつ5分程度の面談を行った。
4月にA中学校の1年生から3年生に対して被援助志向性尺度の質問紙調査を行った。
結 果
小学6年生の段階で面談を実施した被援助志向性尺度の結果を面談前後で比較してみると「援助の肯定的側面」が面談前(中学校に入学する前)では3.47,面談後(中学校に入学後)では,3.50 ,「援助に対する懸念・抵抗感」(逆転項目)が面談前では2.20,面談後(中学校に入学後)では2.95という結果だった。1%水準で有意な結果だった。被援助志向性尺度を中学校の学年ごとに比較してみると,「援助の肯定的側面」は1年生が3.61,2年生が3.24,3年生が3.53だった。さらに,「援助に対する懸念・抵抗感」(逆転項目)は1年生が2.90,2年生が2.39,3年生が2.53だった。1年生,3年生ともに1%水準で有意だった。
考 察
B小学校出身の生徒は,小学6年生の段階でカウンセラーと面談を行った生徒である。小学生の段階で面談を行った生徒は,その後中学校に入学してからカウンセラーの「援助に対する肯定的側面」においては顕著な変容は見られなかったが,「援助に対する懸念・抵抗感」は明らかに軽減されたことが言える。これは,カウンセラーが一人一人と5分間の面談をおこなったことが要因だと考えられる。面談は児童の得意とすることや好きなことを話題として,児童が話しやすい雰囲気にしたり共感的に聴いたりすることに留意した。そのことが抵抗感を和らげることにつながったと考える。
中学1年生,2年生,3年生の「援助の肯定的側面」を比較してみると,2,3年生より1年生の数値が高く,援助に対して肯定的にとらえていることが明らかになった。さらに,「援助に対する懸念・抵抗感」を比較してみると,1年生の抵抗感が少ない結果になった。これは,1年生の中で小学校の段階でカウンセラーとの面談を行った生徒が全体の半数いるということによると考える。小学生の段階での面談に効果があったと言える。
中学生は相談員やスクールカウンセラーと相談する機会が少ないのが現状である。自分に悩みや困り感を抱いても,それを周囲の友達や大人に知られるのが恥ずかしいという感情が働く。児童期の子どもが,他の子どもは権威的人物からどうみられているのか,お互いにどう見ているか目の当たりにする(サリバン,1991)と指摘しているように, 小学生になると他人からどう見られて評価されているのか気になるという発達の特性も影響する。そのために援助要請に至らないことがある。さらに,先行研究では発達的観点を取り入れた援助要請研究の知見から発達段階に即した援助要請への適切な介入方法を開発することである(本田,2015),プログラム介入前と介入後ではカウンセラーの援助に対して肯定的にとらえるようになった可能性がある(水野,2012)と述べている。そこで,中学生の被援助志向性を高めるためには,小学生の段階でカウンセラーとの接触の機会を設けることで,カウンセラーの援助に対して肯定的にとらえて被援助志向性が高まると仮定し検証を行った。
調査対象 A県の公立中学校1年生111名,2年生143名,3年生152名
尺度 被援助志向性尺度(山口,2015) 11項目,2因子4件法で回答を求めた。
内容 調査は2月から4月に実施した。2月(中学校に入学する2か月前)にA中学校の校区内にあるB小学校の6年生56名に対して事前に質問紙調査を行った。次にカウンセラーはその対象クラスの授業を見学して一緒に学習活動に参加し,その後数日間に分けて56名と一人ずつ5分程度の面談を行った。
4月にA中学校の1年生から3年生に対して被援助志向性尺度の質問紙調査を行った。
結 果
小学6年生の段階で面談を実施した被援助志向性尺度の結果を面談前後で比較してみると「援助の肯定的側面」が面談前(中学校に入学する前)では3.47,面談後(中学校に入学後)では,3.50 ,「援助に対する懸念・抵抗感」(逆転項目)が面談前では2.20,面談後(中学校に入学後)では2.95という結果だった。1%水準で有意な結果だった。被援助志向性尺度を中学校の学年ごとに比較してみると,「援助の肯定的側面」は1年生が3.61,2年生が3.24,3年生が3.53だった。さらに,「援助に対する懸念・抵抗感」(逆転項目)は1年生が2.90,2年生が2.39,3年生が2.53だった。1年生,3年生ともに1%水準で有意だった。
考 察
B小学校出身の生徒は,小学6年生の段階でカウンセラーと面談を行った生徒である。小学生の段階で面談を行った生徒は,その後中学校に入学してからカウンセラーの「援助に対する肯定的側面」においては顕著な変容は見られなかったが,「援助に対する懸念・抵抗感」は明らかに軽減されたことが言える。これは,カウンセラーが一人一人と5分間の面談をおこなったことが要因だと考えられる。面談は児童の得意とすることや好きなことを話題として,児童が話しやすい雰囲気にしたり共感的に聴いたりすることに留意した。そのことが抵抗感を和らげることにつながったと考える。
中学1年生,2年生,3年生の「援助の肯定的側面」を比較してみると,2,3年生より1年生の数値が高く,援助に対して肯定的にとらえていることが明らかになった。さらに,「援助に対する懸念・抵抗感」を比較してみると,1年生の抵抗感が少ない結果になった。これは,1年生の中で小学校の段階でカウンセラーとの面談を行った生徒が全体の半数いるということによると考える。小学生の段階での面談に効果があったと言える。