日本教育心理学会第60回総会

講演情報

ポスター発表

[PF] ポスター発表 PF(01-71)

2018年9月16日(日) 16:00 〜 18:00 D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号16:00~17:00 偶数番号17:00~18:00

[PF58] 大学生の困難な場面で頑張る姿勢に関する研究

困難な場面でも頑張る姿勢に関する尺度の構成およびハーディネスの影響

樽木靖夫 (千葉大学)

キーワード:大学生, 困難な場面で頑張る姿勢, ハーディネス

目  的
 厚生労働省の調査「新規学卒者の離職状況 」によれば、3割近くの新入社員が3年以内に辞めている。業種別では,教育,学習支援業は3位という離職率の高さである。教育委員会関係者からも,最近の新卒は打たれ強さが足りないという声も聞く。そこで,打たれ強さと類似する困難な場面で頑張る姿勢とそれに及ぼすハーディネスの影響を検討した。

方  法
(1) 尺度
①困難な場面でも頑張る姿勢に関する尺度
 現場教師3名と相談し,樽木(2017)に他者への注目に関する項目を加えて,「仲間と困難な場面に耐える姿勢」と「困難な場面への対応」に関する計15項目を作成した。
②ハーディネス尺度
 堀越・堀越(2008)による「チャレンジ」「コントロール」「コミットメント」の3因子構成15項目によるハーディネス尺度を用いた。
(2) 手続き 教育学部学生151名を対象に,2017年7月の授業内で,いずれも6件法で測定した。

3.結果と考察
(1)尺度の検討
①困難な場面でも頑張る姿勢に関する尺度
 因子分析結果(主因子法 プロマックス回転)をTable1に示した。「仲間と困難な場面に耐える姿勢」と「な場面への対応」の2因子で解釈した。
②ハーディネス尺度
 因子分析の結果「チャレンジ」「コントロール」「コミットメント」の3因子構成を確認した。
(2) ハーディネスが困難な場面でも頑張る姿勢におよぼす影響
 特性としてのハーディネスに関する3因子を独立変数,困難な場面でも頑張る姿勢に関する2因子を従属変数として重回帰分析を行った結果をFigure1に示した。
 「仲間と困難な場面に耐える姿勢」には「チャレンジ」と「コントロール」が促進的に影響し,「チャレンジ」がより強く影響した。「困難な場面への対応」には「チャレンジ」「コントロール」「コミットメント」の3因子が促進的に影響し,ほぼ同程度の影響力であった。