[PH04] 大学生の自己意識的感情経験の中日比較
恥・罪悪感を喚起する状況の比較
キーワード:自己意識的感情, 恥, 罪悪感
問題および目的
失敗をして,他者に迷惑をかけるなど,社会的苦しい状況に陥るとき生起する感情には恥と罪悪感の2つがある。Ferguson(1999)によると,恥と罪悪感は,誕生してすぐに見られる怒りや悲しみなどの基本的な感情とは質的に異なり,社会的,自己意識的もしくは自己評価的である。
Vangelisti, Daly, & Rudnick(1991)によれば,罪悪感は親密な対人関係の文脈において誘発されるが,見知らぬ他者との文脈では喚起されない。また,Baumeister, Stillwell, & Heatherton (1994)によれば,他者に迷惑をかけ,その他者との関係もしくは交流に脅威が生じるときに罪悪感が促される。有光(2002)によれば,罪悪感を喚起する状況は他傷,他者配慮不足,利己的行動,他者への負い目の4因子で,他者への負い目は日本の青年のみでみられる。
このように自己意識的感情は自分についての感情なので,文化によっても異なる。同じ状況でも同じ自己意識的感情を感じるとは言えない。そこで,本研究では,日本人と中国人が同じ状況で,恥と罪悪感をどちらをどの程度感じるかを比較して,状況と恥および罪悪感を感じる程度の対応関係を検討するために,罪悪感喚起状況を収集し,罪悪感喚起状況を整理することを目的とした。
方 法
調査対象者 20名の大学院生(中国の男性5名,女性5名;日本の男性5名,女性5名)。
質問紙 調査対象者に先生,親,友達,先輩,後輩に対して罪悪感を感じた経験を想起して,そのときの状況を自由に記述させた。質問は,例えば,「先生に対して罪悪感を感じたことがありますか? もしあれば,その時の様子(どんな時,どんな場所,どんな状況)をできるだけ詳しく説明してください。もしなければ,どんな時に感じるかを想像してその様子を説明してください」というものだった。
結果と考察
調査対象者の記述を罪悪感を感じた対象ごとにKJ法によってカテゴライズした。Table 1には,先生に罪悪感を感じる状況のカテゴリを示した。中国人ではない状況もみられた
失敗をして,他者に迷惑をかけるなど,社会的苦しい状況に陥るとき生起する感情には恥と罪悪感の2つがある。Ferguson(1999)によると,恥と罪悪感は,誕生してすぐに見られる怒りや悲しみなどの基本的な感情とは質的に異なり,社会的,自己意識的もしくは自己評価的である。
Vangelisti, Daly, & Rudnick(1991)によれば,罪悪感は親密な対人関係の文脈において誘発されるが,見知らぬ他者との文脈では喚起されない。また,Baumeister, Stillwell, & Heatherton (1994)によれば,他者に迷惑をかけ,その他者との関係もしくは交流に脅威が生じるときに罪悪感が促される。有光(2002)によれば,罪悪感を喚起する状況は他傷,他者配慮不足,利己的行動,他者への負い目の4因子で,他者への負い目は日本の青年のみでみられる。
このように自己意識的感情は自分についての感情なので,文化によっても異なる。同じ状況でも同じ自己意識的感情を感じるとは言えない。そこで,本研究では,日本人と中国人が同じ状況で,恥と罪悪感をどちらをどの程度感じるかを比較して,状況と恥および罪悪感を感じる程度の対応関係を検討するために,罪悪感喚起状況を収集し,罪悪感喚起状況を整理することを目的とした。
方 法
調査対象者 20名の大学院生(中国の男性5名,女性5名;日本の男性5名,女性5名)。
質問紙 調査対象者に先生,親,友達,先輩,後輩に対して罪悪感を感じた経験を想起して,そのときの状況を自由に記述させた。質問は,例えば,「先生に対して罪悪感を感じたことがありますか? もしあれば,その時の様子(どんな時,どんな場所,どんな状況)をできるだけ詳しく説明してください。もしなければ,どんな時に感じるかを想像してその様子を説明してください」というものだった。
結果と考察
調査対象者の記述を罪悪感を感じた対象ごとにKJ法によってカテゴライズした。Table 1には,先生に罪悪感を感じる状況のカテゴリを示した。中国人ではない状況もみられた