[PH38] クラスの親和度が高まる数学の授業開発について
ゲームを取り入れた授業前後の生徒の反応の報告
キーワード:数学, ゲーム, 親和度
問題と目的
新学習指導要領では,「主体的・対話的で深い学び」が謳われている(文部科学省,2017)。生徒に興味を持たせ,考え,探求し,活用していくことが重要とされている。しかし,会話を苦手とする生徒も少なくない。会話がしやすい雰囲気,関係性を作り出すためには,ゲーム性のある教材が適しているのではないかと考える。古川・北本(2016)や村川ら(2013)により授業にゲームを取り入れる有効性が挙げられている。学級つくりにおいても高橋ら(2005)がゲームの有効性を挙げている。しかし,教科指導で内容理解と関係作りを探究した研究はまだ十分とは言えない。
本研究の目的は2つである。1つ目は,「正の数・負の数」「文字式」の単元を学習した生徒がテストでどのようにつまずいているのか,実態を把握する。2つ目は,算数・数学が苦手で授業に積極的に参加できない生徒が半具体物を取り入れたゲームを通して,授業に興味を持ち,参加できる教材を開発する。また,その教材を進める中で,会話が起こりやすい仕掛けを作ることを目的とする。
方 法
第一,第二実験を行う。
第一実験は以下の概要で実施する。
対象: O市立中学校1年生136名 教科: 数学 単元: (1)正の数・負の数の加法・減法(3組39名)→(2)正の数・負の数の四則計算(4組39名)→(3)1次式の計算 同類項をまとめる(2組39名)→(4)1次式の加法・減法(1組39名)
手続き: (1)事前調査として,1年生の1学期中間テスト,期末テスト,夏休み明けの宿題テスト,2学期中間テストの正答率を算出し,理解度を測る。(2)授業実践を行い,授業時間内に理解度テストを行う。(3)授業後アンケートを行う。
(4)2学期期末テスト・3学期学年末テストにおいて,追跡調査を行う。
第二実験は第一実験と以下の点を変更して実施する。第一実験の(2)の授業を2回に分けて実施する。第一実験で行ったクラスとは異なるクラスで授業を実施する。半具体物を取り入れたゲームのルールの簡素化をし,説明時間を短縮し,生徒にも伝わりやすくなるよう映像やスライドを工夫する。授業後アンケートは実施しない。
結果と考察
事前調査の結果から,1学期の定期テストで出題された問題で,1章「正の数・負の数」では,2数の減法が加法に比べると正答率が10%以上低く70%を切るものもあった(例.(-6)-(+2) 68%)。2章「文字式」では,2項の同類項をまとめる問題で60%前後(例.9a-a 58%),1次式の減法で正答率が30%のものもあった(例.(2a+3)-(4a-5))。
第一実験の(3)の授業において,袋と飴の描かれたカード2種類を用いて,それぞれの数を揃えるゲームを行った。カードはそれぞれ向きがあり,上下逆さまにすることで,+と-を区別する。2項の同類項をまとめる問題は,90%前後まで改善できた。授業後アンケートの集計結果(4件法)は,「楽しかったか」は平均3.59点(SD=0.55)。「クラスメイトと会話できたか」は平均3.68点(SD=0.47)。「今日のゲームをまたやりたいですか」は平均3.61点(SD=0.55)と生徒にとって,好印象であったこともわかった。
(4)の授業では,(3)と同様のカードを用いて,数字の書かれたカードを引き,分配法則について学習した。授業後の理解度テストでは,1次式の減法が正答率の41.2%に留まった。かっこの前にある-が生徒にとっては難易度が高いことが示唆された。今後の実験では,(2a+3)-(4a-5)のような1次式の減法の問題が解ける生徒が増えるよう授業改善を図り,それぞれの授業の繋がりを見直し,実践に向かう。
新学習指導要領では,「主体的・対話的で深い学び」が謳われている(文部科学省,2017)。生徒に興味を持たせ,考え,探求し,活用していくことが重要とされている。しかし,会話を苦手とする生徒も少なくない。会話がしやすい雰囲気,関係性を作り出すためには,ゲーム性のある教材が適しているのではないかと考える。古川・北本(2016)や村川ら(2013)により授業にゲームを取り入れる有効性が挙げられている。学級つくりにおいても高橋ら(2005)がゲームの有効性を挙げている。しかし,教科指導で内容理解と関係作りを探究した研究はまだ十分とは言えない。
本研究の目的は2つである。1つ目は,「正の数・負の数」「文字式」の単元を学習した生徒がテストでどのようにつまずいているのか,実態を把握する。2つ目は,算数・数学が苦手で授業に積極的に参加できない生徒が半具体物を取り入れたゲームを通して,授業に興味を持ち,参加できる教材を開発する。また,その教材を進める中で,会話が起こりやすい仕掛けを作ることを目的とする。
方 法
第一,第二実験を行う。
第一実験は以下の概要で実施する。
対象: O市立中学校1年生136名 教科: 数学 単元: (1)正の数・負の数の加法・減法(3組39名)→(2)正の数・負の数の四則計算(4組39名)→(3)1次式の計算 同類項をまとめる(2組39名)→(4)1次式の加法・減法(1組39名)
手続き: (1)事前調査として,1年生の1学期中間テスト,期末テスト,夏休み明けの宿題テスト,2学期中間テストの正答率を算出し,理解度を測る。(2)授業実践を行い,授業時間内に理解度テストを行う。(3)授業後アンケートを行う。
(4)2学期期末テスト・3学期学年末テストにおいて,追跡調査を行う。
第二実験は第一実験と以下の点を変更して実施する。第一実験の(2)の授業を2回に分けて実施する。第一実験で行ったクラスとは異なるクラスで授業を実施する。半具体物を取り入れたゲームのルールの簡素化をし,説明時間を短縮し,生徒にも伝わりやすくなるよう映像やスライドを工夫する。授業後アンケートは実施しない。
結果と考察
事前調査の結果から,1学期の定期テストで出題された問題で,1章「正の数・負の数」では,2数の減法が加法に比べると正答率が10%以上低く70%を切るものもあった(例.(-6)-(+2) 68%)。2章「文字式」では,2項の同類項をまとめる問題で60%前後(例.9a-a 58%),1次式の減法で正答率が30%のものもあった(例.(2a+3)-(4a-5))。
第一実験の(3)の授業において,袋と飴の描かれたカード2種類を用いて,それぞれの数を揃えるゲームを行った。カードはそれぞれ向きがあり,上下逆さまにすることで,+と-を区別する。2項の同類項をまとめる問題は,90%前後まで改善できた。授業後アンケートの集計結果(4件法)は,「楽しかったか」は平均3.59点(SD=0.55)。「クラスメイトと会話できたか」は平均3.68点(SD=0.47)。「今日のゲームをまたやりたいですか」は平均3.61点(SD=0.55)と生徒にとって,好印象であったこともわかった。
(4)の授業では,(3)と同様のカードを用いて,数字の書かれたカードを引き,分配法則について学習した。授業後の理解度テストでは,1次式の減法が正答率の41.2%に留まった。かっこの前にある-が生徒にとっては難易度が高いことが示唆された。今後の実験では,(2a+3)-(4a-5)のような1次式の減法の問題が解ける生徒が増えるよう授業改善を図り,それぞれの授業の繋がりを見直し,実践に向かう。