[PB17] 教員志望学生の教えることに関する信念の検討(3)
教えることの信念に関する学年間比較
Keywords:教員志望学生、教えることの信念、学年間比較
問題と目的
本研究の目的は,現職教員および教員志望学生を対象として行った調査のうち,教員志望学生の回答結果を元に,教えることに関する信念の様相構造を検討することである。特に,学年によって信念の様相に何らかの違いが見られるかどうかを検討することである。
研究(1)では,教えることの信念の構造を検討した。そして,信念は「大学での教授法の学習の必要性」と「大学で教え方を学ぶ手段とその内容」の2側面で構成されることが示された。次に,研究(2)では,発達や学習に係る教職科目(教育心理学)の受講前と受講後で信念の様相に何らかの違いが見られるかどうかを検討した。その結果,「大学での教授法の学習の必要性」については,下位項目を含め,受講後の評定値が高かった。全体としては,教えることについて大学で何らかの形で学ぶことが必要であると捉える傾向が見られたものの,その度合いは受講後において僅かに低かった。この結果を踏まえると,教えることの信念,とりわけ,教えることについて大学で何らかの形で学ぶことについては,学年進行に伴って重視度合いが低下することが考えられる。
そこで本研究では,学年によって教えることの信念の様相に何らかの違いが見られるのかどうかを検討することとした。
方 法
参加者:大学2年生・3年生286名(平均年齢19.81歳)。内訳は,大学2年生187名(男性82名,女性105名),大学3年生99名(男性50名,女性44名)であった。
材料:研究(1)に同じ
手続き:研究(1)に同じ
結果と考察
得られたデータについては,SPSS Ver.25を用いて統計処理を行った。林ら(2019)で示された2つの下位尺度それぞれ(「大学での教授法の学習の必要性」「大学で教え方を学ぶ手段とその内容」)で,下位尺度得点を求めた。下位尺度得点は,各回尺度を構成する項目の平均値を充当した。その上で,下位尺度各々について,学年間で得点に違いがみられるかどうかを検討するため,t検定を行ったところ,第1因子(大学での教授法の学習の必要性)においてt値が有意であり,3年生の得点が高かった。一方,第2因子(大学で教え方を学ぶ手段とその内容)ではt値は有意ではなかった。
次に,下位尺度を構成する項目ごとの評定値について,学年間の得点の違いを検討したところ,第1因子の項目2「これまでさんざん教わる経験をしてきているので,わざわざ大学で教え方について学ぶ必要はないと思う」において3年生の評定値が高かった(Table 1参照)。したがって,本研究における参加者の場合,学年進行に伴って重視度合いが低下することが考えられる。今後は,希望校種による信念の様相の違い等についても検討が必要であろう。
本研究の目的は,現職教員および教員志望学生を対象として行った調査のうち,教員志望学生の回答結果を元に,教えることに関する信念の様相構造を検討することである。特に,学年によって信念の様相に何らかの違いが見られるかどうかを検討することである。
研究(1)では,教えることの信念の構造を検討した。そして,信念は「大学での教授法の学習の必要性」と「大学で教え方を学ぶ手段とその内容」の2側面で構成されることが示された。次に,研究(2)では,発達や学習に係る教職科目(教育心理学)の受講前と受講後で信念の様相に何らかの違いが見られるかどうかを検討した。その結果,「大学での教授法の学習の必要性」については,下位項目を含め,受講後の評定値が高かった。全体としては,教えることについて大学で何らかの形で学ぶことが必要であると捉える傾向が見られたものの,その度合いは受講後において僅かに低かった。この結果を踏まえると,教えることの信念,とりわけ,教えることについて大学で何らかの形で学ぶことについては,学年進行に伴って重視度合いが低下することが考えられる。
そこで本研究では,学年によって教えることの信念の様相に何らかの違いが見られるのかどうかを検討することとした。
方 法
参加者:大学2年生・3年生286名(平均年齢19.81歳)。内訳は,大学2年生187名(男性82名,女性105名),大学3年生99名(男性50名,女性44名)であった。
材料:研究(1)に同じ
手続き:研究(1)に同じ
結果と考察
得られたデータについては,SPSS Ver.25を用いて統計処理を行った。林ら(2019)で示された2つの下位尺度それぞれ(「大学での教授法の学習の必要性」「大学で教え方を学ぶ手段とその内容」)で,下位尺度得点を求めた。下位尺度得点は,各回尺度を構成する項目の平均値を充当した。その上で,下位尺度各々について,学年間で得点に違いがみられるかどうかを検討するため,t検定を行ったところ,第1因子(大学での教授法の学習の必要性)においてt値が有意であり,3年生の得点が高かった。一方,第2因子(大学で教え方を学ぶ手段とその内容)ではt値は有意ではなかった。
次に,下位尺度を構成する項目ごとの評定値について,学年間の得点の違いを検討したところ,第1因子の項目2「これまでさんざん教わる経験をしてきているので,わざわざ大学で教え方について学ぶ必要はないと思う」において3年生の評定値が高かった(Table 1参照)。したがって,本研究における参加者の場合,学年進行に伴って重視度合いが低下することが考えられる。今後は,希望校種による信念の様相の違い等についても検討が必要であろう。