[PB26] グループ活動における対人関係プロセス
Keywords:グループ活動、プロセス、コンセンサス
問題と目的
人間関係をとらえる視点として,コンテントとプロセスといった2つの見方がある。コンテントとは,対人間コミュニケーションにおける課題やチーム活動における課題をさしている。一方,その話題や活動に関して話をしているときに,二者がどのような話し方や聴き方をしているか,二人の関係のありようやノンバーバル行動や二人の間に起こっている気持ちや考えていることなどをプロセス(関係的課程)と呼ぶと述べている(2012,津村)。グループ活動において,学生生たちはどのように相手と交流し,どんなことを感じているのかを,細かく分析することで,対人関係のプロセスが明らかになるのではないかと考えた。田上(2010)は,対人関係ゲームは,人間関係づくりに効果があると述べ。人々が支えたり,支えられたりする人間関係であって,意味のあることをしていると思えて,楽しいとか面白いという集団の実現である。イメージとしては「群れ」である。「群れ」とは,子ども同士に協力関係があり,学級への所属意識や愛着が自然にわいてきて,クラスメイトや学級の活動に自分は役立っているという実感がもてる集団であると述べている。対人関係プログラムを使って,学生たちはお互いにどんなプロセスを経過しているのだろうか。グループのコンテントには,2種類あると考えられる。そのコンテントに正解があるものと,正解のないものである。コンセンサスゲームは,社会心理学のジェイ・ホールが考案したもので,チームで考えるトレーニングとしてNASAや企業研修でおこなわれている。課題に対してグループで目的をもって話し合い,折り合いをつけて結果をだすものである。ゲームでは発言が重要になり,相手のことを考えて活動すると言われている。コンセンサスのあるコンテントにおいては。正解を求める課程で相手の考えに疑問を投げかけたり,否定することが考えられる。これは正解が1つだとすれば,当然のことで,正解に近づけるために,正解でなない発言は排除されることになる。一方,コンセンサスのないコンテントは,何を言ってもそれはその学生の考えであり,どの意見も受け入れられる可能性があり,学生同士の発言が多く,より深い対人関係プロセスになるのではないかと考えた。
本研究では,コンセンサスのないコンテントを行い,十分話し合いができたのか・自他理解ができたのかを質問調査で聴き,コンセンサスのあるゲームとの違いについて,意見を自由記述で求めることとする。
方 法
対象者 A女子大学の大学3年生45名。質問紙の回答に不備があり,分析対象は42名とした。
内容 6人グループにわかかれ,白雪姫から相談を受けた際に,あなたならどうするかの課題を行った。
プリントには白雪姫の相談が書かれており,内容は「私に理想の王子を見つけてほしい」と依頼される。別プリントに5人の王子の紹介文があり,この5人の王子の中から,白雪姫の理想の王子を選択させた。選択には15分の時間をとり,その理由を書く欄も設けた。その後グループで一人3分の時間を取り,なぜその王子が白雪姫に合っているのかを述べて,全員の発表後に班ではどの王子を白雪姫に合っているのかを考え,一人に絞り黒板に書かせた。
倫理的配慮
インフォームド・コンセントを行い,本研究への協力を求めた者を調査対象とした。質問紙は拒否中断は可能であり,このことによる不利益が生じないことを口頭で伝えた。
結果・考察
十分な話し合いが出来たのかについては,5件法で平均が4.66と話し合いができたことが明らかになった。自由記述の内容をKJ法により分類してみると「正解がないので,その人の考えを大切に聴くことができた」「個人の発言が自由に聴けた」「答えをひとつに絞らなくていいので,楽だった」という肯定的な意見と,「答えがないので,はっきりしなくてもやもやした」「答えがないので意見が揺れて自分が混乱した」などの否定的な意見があった。他者の意見を聴くことができることは利点ではあるのだが,他者の意見を聴くことで,自分が思っていた考えが,揺らいでしまい,混乱してしまう学生が多いことが明らかになった。グループは6人なので,他者の5人の意見になるが,説得力のある意見を聴くと,自分の考えが浅くて深みがなく,他者の意見に大いに影響をうけ,自分の考えに自信を無くしている様子がうかがえた。今後のグループ活動での課題である。
人間関係をとらえる視点として,コンテントとプロセスといった2つの見方がある。コンテントとは,対人間コミュニケーションにおける課題やチーム活動における課題をさしている。一方,その話題や活動に関して話をしているときに,二者がどのような話し方や聴き方をしているか,二人の関係のありようやノンバーバル行動や二人の間に起こっている気持ちや考えていることなどをプロセス(関係的課程)と呼ぶと述べている(2012,津村)。グループ活動において,学生生たちはどのように相手と交流し,どんなことを感じているのかを,細かく分析することで,対人関係のプロセスが明らかになるのではないかと考えた。田上(2010)は,対人関係ゲームは,人間関係づくりに効果があると述べ。人々が支えたり,支えられたりする人間関係であって,意味のあることをしていると思えて,楽しいとか面白いという集団の実現である。イメージとしては「群れ」である。「群れ」とは,子ども同士に協力関係があり,学級への所属意識や愛着が自然にわいてきて,クラスメイトや学級の活動に自分は役立っているという実感がもてる集団であると述べている。対人関係プログラムを使って,学生たちはお互いにどんなプロセスを経過しているのだろうか。グループのコンテントには,2種類あると考えられる。そのコンテントに正解があるものと,正解のないものである。コンセンサスゲームは,社会心理学のジェイ・ホールが考案したもので,チームで考えるトレーニングとしてNASAや企業研修でおこなわれている。課題に対してグループで目的をもって話し合い,折り合いをつけて結果をだすものである。ゲームでは発言が重要になり,相手のことを考えて活動すると言われている。コンセンサスのあるコンテントにおいては。正解を求める課程で相手の考えに疑問を投げかけたり,否定することが考えられる。これは正解が1つだとすれば,当然のことで,正解に近づけるために,正解でなない発言は排除されることになる。一方,コンセンサスのないコンテントは,何を言ってもそれはその学生の考えであり,どの意見も受け入れられる可能性があり,学生同士の発言が多く,より深い対人関係プロセスになるのではないかと考えた。
本研究では,コンセンサスのないコンテントを行い,十分話し合いができたのか・自他理解ができたのかを質問調査で聴き,コンセンサスのあるゲームとの違いについて,意見を自由記述で求めることとする。
方 法
対象者 A女子大学の大学3年生45名。質問紙の回答に不備があり,分析対象は42名とした。
内容 6人グループにわかかれ,白雪姫から相談を受けた際に,あなたならどうするかの課題を行った。
プリントには白雪姫の相談が書かれており,内容は「私に理想の王子を見つけてほしい」と依頼される。別プリントに5人の王子の紹介文があり,この5人の王子の中から,白雪姫の理想の王子を選択させた。選択には15分の時間をとり,その理由を書く欄も設けた。その後グループで一人3分の時間を取り,なぜその王子が白雪姫に合っているのかを述べて,全員の発表後に班ではどの王子を白雪姫に合っているのかを考え,一人に絞り黒板に書かせた。
倫理的配慮
インフォームド・コンセントを行い,本研究への協力を求めた者を調査対象とした。質問紙は拒否中断は可能であり,このことによる不利益が生じないことを口頭で伝えた。
結果・考察
十分な話し合いが出来たのかについては,5件法で平均が4.66と話し合いができたことが明らかになった。自由記述の内容をKJ法により分類してみると「正解がないので,その人の考えを大切に聴くことができた」「個人の発言が自由に聴けた」「答えをひとつに絞らなくていいので,楽だった」という肯定的な意見と,「答えがないので,はっきりしなくてもやもやした」「答えがないので意見が揺れて自分が混乱した」などの否定的な意見があった。他者の意見を聴くことができることは利点ではあるのだが,他者の意見を聴くことで,自分が思っていた考えが,揺らいでしまい,混乱してしまう学生が多いことが明らかになった。グループは6人なので,他者の5人の意見になるが,説得力のある意見を聴くと,自分の考えが浅くて深みがなく,他者の意見に大いに影響をうけ,自分の考えに自信を無くしている様子がうかがえた。今後のグループ活動での課題である。