日本教育心理学会第61回総会

講演情報

ポスター発表

[PE] ポスター発表 PE(01-67)

2019年9月15日(日) 13:30 〜 15:30 3号館 1階 (カフェテリア)

在席責任時間
奇数番号13:30~14:30
偶数番号14:30~15:30

[PE05] FIT-Choice尺度と教職志望度との関連について

吉崎聡子 (弘前大学)

キーワード:FIT-Choice尺度、大学生、教職希望

目  的
 本研究は,大学生の教職志望動機把握のために国際的に使用されているFIT-Choice尺度(富田,2018)について,大学生の教職希望度との関連を検討することを目的とする。
方  法
質問紙 FIT-Choice尺度日本語版(Richardson & Watt,2006;富田,2016)を7件法にて使用。B尺度(教職選択に影響する要因),C尺度(教授に関する信念),D尺度(意思決定)の3尺度からなる。質問内容がわかりにくかったため,富田(2016)の項目と文末表現を一部変更した。また教職希望度・教職非希望度をそれぞれ6件法にて尋ねた。
実施時期・回答者 2019年1月に実施し,東北地方国立大学教員養成系学部1年次学生163名が回答した。
結果と考察
 FIT-Choice尺度は,因子構造の確認のため 富田・三和(2018)と同様にB尺度よりFallback Career因子・Job Transferability因子を削除し確認的因子分析を行った。B尺度の適合度指標はCFI=.842,RMSEA=.078であった。またC尺度の適合度指標はCFI=.914,RMSEA=.069であった。この結果は富田(2018))と大きく異なる値ではないことから,本研究においても想定された因子を採用する。
 今後の分析ではFIT-Choice尺度の下位因子を構成する項目の和を項目数で除したものを下位因子得点として使用する。各下位因子のα係数をTable1に示した。
 対象者の教職希望度と教職非希望度を基にクラスター分析(Ward法)により群わけを行った。その結果A群(教職希望・教職非希望が同程度)62名,B群(教職希望>教職非希望)59名,C群(教職希望<教職非希望)42名となった。この3群について,FIT-Choice尺度下位因子と教職希望度・教職非希望度との相関を求めた(Table1)。B群ではD尺度以外に有意な相関係数は見られなかった。A群・C群では教師としての資質能力,興味,大学入学までの経験などと教職希望の間に正の相関が見られた。教職希望に迷いのある群ほど内的要因が関連していると考えられた。またいずれの群も教職志望について熟考するほど教職希望度が高いと考えられる。
引用文献
Richardson, P.W. & Watt, H.M.G.(2006)Who Chooses Teaching and Why? Asia-Pacific Journal of Teacher Education, 34(1),27-56.
富田英司(2016)FIT-Choice尺度日本語訳の試み,日教心58回総会発表論文集,324.
富田英司・三和秀平(2018)教職志望動機を測定するFIT-Choice尺度の結果は大学間で比較できるか,日
教心第60回総会発表論文集,139.