日本教育心理学会第61回総会

講演情報

ポスター発表

[PF] ポスター発表 PF(01-67)

2019年9月15日(日) 16:00 〜 18:00 3号館 1階 (カフェテリア)

在席責任時間
奇数番号16:00~17:00
偶数番号17:00~18:00

[PF17] 状態としての知的好奇心と修士課程進学との関連

情報系学生を対象とした調査結果から

石田拓矢1, 庄司正実#2 (1.東京電機大学, 2.目白大学)

キーワード:状態としての知的好奇心、修士課程進学、情報系

問題と目的
 私立工科系大学の69%は修士課程進学率20%未満(千葉大学,2017)と修士課程への進学促進が重要となっている。『研究』の出発点である「新たな課題の明確化」や「仮説の設定」のためには,普段から様々なことに興味関心を持つこと,当たり前だと思われることであっても疑問を持つこと,課題を発見したらそれを解決しようと思うことが必要である。つまり,『研究』の始まりに『知的好奇心』が大きく関連していると考えられる。文部科学省研究振興局振興企画課(2010)は,学術研究の特性のひとつを「研究者一人一人の知的好奇心を源泉に真理の探究を目的として行われるものであること」と整理している。修士課程に進学して研究に取り組もうとする学生は,就職希望学生よりも「知的好奇心」が高いのではないだろうか。そこで本研究は,研究1として,私立情報系学部卒業年次の修士課程進学希望学生と就職希望学生の「状態としての知的好奇心」を比較する。研究2として,私立情報系学部3年目学生の修士課程進学への興味に「状態としての知的好奇心」が影響を与えているかを明らかにする。研究1・2ともに2018年9月上旬のオリエンテーションにおいて調査を実施した。
研究1
 調査対象者は卒業年次学生69名(男性59名,女性9名,不明1名,平均年齢21.6歳)。西川・雨宮(2015)の知的好奇心尺度の教示文を「現在の自分にどの程度あてはまると思いますか」に変更して「状態としての知的好奇心」を測定し,修士課程進学希望学生(7名)と就職希望学生(49名)を比較(卒業延期・未回答:13名)した結果,拡散的知的好奇心および特殊的知的好奇心の両方で修士課程進学希望学生の方が有意に高かった(Table 1)。
研究2
 調査対象者は3年目学生143名(男性123名,女性19名,不明1名,平均年齢20.7歳)。「状態としての知的好奇心」,「講義・演習への取り組み(目標達成)」,「研究への取り組み(目標達成)」,「修士課程進学への興味」(ビジュアルアナログスケールを用いて,「全く興味がない」から「とても興味がある」の間で回答を求めた)を測定し,「状態としての知的好奇心」から「講義・演習への取り組み(目標達成)」,「研究への取り組み(目標達成)」,「修士課程進学への興味」への影響を調査した結果,「状態としての知的好奇心」は,「講義・演習への取り組み(目標達成)」および「研究への取り組み(目標達成)」だけでなく,「修士課程進学への興味」にも影響を与えていたことが明らかとなった(Figure 1)。