日本教育心理学会第61回総会

講演情報

ポスター発表

[PG] ポスター発表 PG(01-59)

2019年9月16日(月) 10:00 〜 12:00 3号館 1階 (カフェテリア)

在席責任時間
奇数番号10:00~11:00
偶数番号11:00~12:00

[PG08] 現代青年における成長の機会を伴う好奇心の様相

竹本さり (関西学院大学大学院)

キーワード:現代青年、好奇心

目  的
 近年,さまざまな資質・能力を求められている。さらに「第3のモラトリアム」の存在も指摘されている(高坂,2016)。これらの問題の背景のひとつには好奇心の低下が考えられる。好奇心は,Berlyne,D.E.(1954,1960)によって定式化が試みられたが,定義や概念は状況依存的に使用されている。本研究では,好奇心を成長の機会を伴うものと仮定し,好奇心を「不確実性や曖昧性を受け入れ,積極的に自分から働きかけ,追い求めるための中長期的な反応を示す傾向」と定義した。さらに,本研究では,現代青年の好奇心の内的構造を検討し,自尊感情による差異を検討する。
方  法
調査対象者 関西の大学生(短大生を含む)1-4年生454名。
調査内容 好奇心尺度であるKashdan,T.B.(2009)等の尺度や現代青年についての記述がある佐藤・那須(2017)等の論文を参考に項目を作成した。心理学の教員1名と教育学専攻の大学生5名により作成された項目をもとに妥当性を検討し,最終的に59項目を採用した。回答は5件法であった。
結  果
 好奇心尺度の検討 好奇心尺度について因子分析(主因子法,プロマックス回転)を行ったところ,4因子が最も適当と判断した。そして,『F1 環境変化への耐性』,『F2 新奇性追求』,『F3 知的探求』,『F4 他者への関心』と命名した(Table1)。
 自尊感情が好奇心に及ぼす影響の検討 自尊感情の高低における好奇心の差異を検討するために,Rosenberg,M.(1965)の自尊感情尺度の標準化得点について0点を境に高・低群に分けた。そして,好奇心尺度の下位尺度得点の標準化得点を用いて2要因の分散分析(混合計画)を行った。その結果,『F1 環境変化への耐性』(p<.001),『F2 新奇性追求』得点(p<.001),『F3 知的探求』得点(p<.01)において,それぞれ自尊感情の低群より高群の方が有意に得点が高かった(Figure1)。
主要参考文献
 Kashdan(2018).The five-dimensional curiosity scale:Captururing the bandwidth of curiosity and identifying four unique subgroups of curious people Journal of research in personality,73,130-149.