日本地質学会第128年学術大会

講演情報

ポスター発表

R20[レギュラー]地学教育・地学史

[1poster68-70] R20[レギュラー]地学教育・地学史

2021年9月4日(土) 16:30 〜 19:00 ポスター会場 (ポスター会場)

16:30 〜 19:00

[R20-P-2] 高等学校における地球科学を基礎にした探究活動の実践

*川勝 和哉1 (1. 兵庫県立姫路東高等学校)

キーワード:探究、自然科学探究基礎、課題研究、スーパーサイエンスハイスクール、科学倫理

1 高校生に求められる資質や能力とは何か
 現代は、与えられた課題を正確に解くだけではなく、自ら課題を設定し、解決の道筋を考えて解決する能力や議論する力が求められており、「探究」が新学習指導要領に取り入れられている。また、優れた女子生徒の発掘・育成や、社会人として必要な科学倫理観の育成にも注力されている。

2 スーパーサイエンスハイスクール指定で目指すこと
 本校は令和2年度から5年間、文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受け、これらの研究課題に取り組む事業を展開している。特筆すべき活動として、(1)1年次生全員(280名)に「自然科学探究基礎」で、地学分野を基礎にした分野横断的な自然科学教育をおこなう、(2)1年次生全員で「理数探究基礎」(課題研究/1単位)に取り組む(2年次生理系で2単位、3年次生理系で1単位)、(3)2年次生理系で「科学倫理」の課題研究に取り組む(2単位)、(4)全国の高校生を対象にした「Girl’s Expo with Science Ethics」を開催して、理系女子の研究発表や科学倫理の研究発表をおこなう、(5)希望生徒を対象に、オーストラリア野外調査(地質調査/2週間)やジョージタウン大学研修(科学倫理/1週間)をおこなう、(6)野外調査で得られた成果はAGU等の国際学会で発表する、(6)科学部の国際的な活動を強力に支援する、等が挙げられる。

3 多くの探究活動を地球科学(地学)をベースにして実施する
 兵庫県は1995年に阪神淡路大震災を経験した。その後も各地で地震や火山の噴火、津波、台風など、多くの自然災害に見舞われている。我々にはそこから学んだ自然の学びや防災の教訓を継いでいく義務がある。自然災害の理解は、生きた自然の学びでもある。教科書には、ハザードマップを確認しておこう、建物を耐震構造にしておこう、避難場所と避難経路を確認しておこう、防災グッズをそろえておこうなど、防災、減災、自助、共助に関するまとまった記述があり、授業ではその部分ばかりに注目が集まる。しかし、自然災害(自然)を理解するためには、防災と科学的な自然の理解が両輪である必要がある。地学の内容は、自然科学の全領域にわたる学びに力を発揮する分野であるが、一方で地学を深く学ぶカリキュラムを有している高等学校は全国でも数少ない。「自然科学探究基礎」で複眼的、広域的視点に基づく自然科学全般の基礎知識を習得し、さらに「理数探究基礎」(課題研究)で具体的に実践する。