129th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

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Session Oral

G1-5. sub-Session 05

[2oral601-09] G1-5. sub-Session 05

Mon. Sep 5, 2022 1:30 PM - 3:45 PM oral room 6 (Build. 14, 403)

Chiar:Daisuke Sato, Hideaki NAGAMORI

1:30 PM - 1:45 PM

[G5-O-1] Mesozoic limestone conglomerate in the Mino Belt, Nanjo Mountains

*Tomio Nakagawa1 (1. Faculty of Education, University of Fukui)

Keywords:limestone conglomerate, Mino Belt, Imogadaira, Late Triassic

福井県南条山地の美濃帯湯尾C(中江ほか,2013,2015)に分布する芋ヶ平石灰岩は,多くのペルム紀化石が産出する(中村・伊藤, 1985).中川ほか(2019)はこの石灰岩が石灰岩礫岩で,後期三畳紀のコノドントや放散虫を含む薄殻二枚貝石灰岩礫や前期ジュラ紀以降に生息期間を持つ放散虫を得た.このような礫質石灰岩は石灰岩の起源や付加様式を考える上で重要と考えられるので,石灰岩礫の産状および岩相,産出化石について報告する.
 本石灰岩の礫として最も多くみられるのは灰~灰白色の含フズリナ石灰岩礫でNeoschwagerina sp.を含むペルム紀石灰岩である.次に多いのが濃赤~赤紫色,灰白~淡桃色,暗灰色などのミクライト質含薄殻二枚貝石灰岩で,鏡下での観察では,packstone ,wackestone,石灰泥岩に区分される.石灰岩礫の大きさは変化に富み,淘汰不良で,基質はごく少量が見られるにすぎない.礫間を埋める基質は緑灰〜暗灰色の泥質堆積物からなる.基質は個々の石灰岩礫の輪郭を縁取るように幅狭く,線状に分布し,強くスタイロライト化している.多くの場合,線状部の幅は1~2 mmである.石灰岩礫と基質の境界は明確で,岩相的な漸移は認められない.
 含薄殻二枚貝石灰岩8試料を蟻酸処理すると,三畳紀コノドント・放散虫が産出し,内5試料からは前期ジュラ紀以降の放散虫が混在する残渣試料が得られた.全岩処理で得られた微化石のうち,コノドントのNorigondolella naviculaNorigondolella steinbergensisおよびEpigondolella spp. は後期三畳紀ノーリアン期あるいはレーティアン期を特徴づける種である.一方,放散虫は中期~後期三畳紀を示すが,この他に,前期ジュラ紀トアルシアン期のHelvetocapsa minoensisや前期ジュラ紀~後期白亜紀のTriactoma sp.が得られた.そこで,量的に多く見られる帯赤色含薄殻二枚貝packstone礫,白・淡桃色薄殻二枚貝wackestone礫,暗灰色石灰泥岩礫の3つを単離して微化石抽出を行った.各々10gを個別に蟻酸処理して微化石の抽出を試みた.packstone礫から10gあたり176個のN. steinbergensisEpigondolella spp.からなる後期三畳紀ノーリアン期のコノドント化石群集を得た.含薄殻二枚貝wackestone礫と石灰泥岩礫から産出したコノドントは N. steinbergensisだけである.含薄殻二枚貝石灰岩は岩相により産出量は異なるが,同定できたコノドントはすべて後期三畳紀ノーリアン期あるいはレーティアン期を示すことからこの時代に堆積した石灰岩と考えられる.また,石灰岩礫岩の全岩処理で得られた前期ジュラ紀の放散虫を含む石灰岩礫は発見できなかった.
 これらのことから前~中期ペルム紀に海山上に形成された石灰岩体がプレート上を沈降しながら移動し,後期三畳紀に一時,CCDより浅くなり深海性石灰岩が堆積した.それが前期ジュラ紀に海溝手前で崩壊し,石灰岩礫岩が形成され付加体に取り込まれた可能性が考えられる(Fig. 1).
 研究を行うにあたり佐野弘好先生,上松佐知子先生,指田勝男先生にお世話になりました.
引用文献:中江ほか,2013,今庄及び竹波地域の地質.産総研/中江ほか,2015,冠山地域の地質.産総研./中川ほか,2019,地質雑,125,877-884/中村・伊藤,1985,福井市郷土自然科学博,31, 27‒34.