日本地質学会第129年学術大会

講演情報

セッションポスター発表

T3.[トピック]南大洋・南極氷床:地質学から解く南極と地球環境の過去・現在・未来

[7poster01-05] T3.[トピック]南大洋・南極氷床:地質学から解く南極と地球環境の過去・現在・未来

2022年9月10日(土) 09:00 〜 12:30 ポスター会場 (ポスター会場)

フラッシュトーク有り 9:00-10:00頃 ポスターコアタイム 10:30-12:30

[T3-P-5] 東南極氷床変動の復元と急激な氷床融解メカニズムの解明

*菅沼 悠介1、第Ⅹ期南極地域観測事業 重点サブテーマ1-2課題申請メンバー (1. 国立極地研究所)

【zoomによるフラッシュトーク有り】9/10(土)9:40-9:45

キーワード:南極観測事業、南大洋・南極氷床、海底堆積物

近年,南極氷床融解の加速が相次いで報告され,近い将来の急激な海水準上昇が社会的に強く懸念されている.一方,このような氷床の融解傾向は,過去数十年の観測から得られたもので,短周期の揺らぎである可能性もあり,長期的に継続し,やがて地球環境の激変に至るような現象であるかについては,まだ不明な点も残されている.また,南極氷床融解の予測には精密な大気-海洋および氷床モデルシミュレーションが不可欠であるが,現状の氷床融解メカニズムの理解は充分とはいえず,いまだ海水準上昇の将来予測には不確実性が大きい.この問題を解決する方法の一つとして,南極現地で直接得た地質データに基づく精度の高い過去の南極氷床融解の復元や,現在の観測のみでは見通せない大規模かつ急激な氷床融解のメカニズムの解明することが強く求められている.そこで,2022年度から開始した南極観測事業第Ⅹ期重点研究計画では,サブテーマ1-2「東南極氷床変動の復元と急激な氷床融解メカニズムの解明」として,砕氷船「しらせ」による本格的な海底堆積物掘削や,新開発の地層掘削システムを用いた凍結湖沼上からの湖底堆積物掘削,さらには露岩域での陸上ボーリングなどを実施することで,過去数十万年間における長期的な東南極氷床変動の復元と,さらには最後の氷期から現在の間氷期への移行期におきた急激かつ大規模な氷床融解の実態とそのメカニズム解明を目指す.さらに,本計画では東南極内陸部での永久結氷湖掘削や西南極ロス棚氷下掘削などの国際プロジェクトに参画し,国際的な連携の中で南極氷床変動メカニズムの総合的理解にも貢献する.本発表では,南極観測事業第Ⅹ期重点研究計画サブテーマ1-2の調査計画とスケジュールの概要について紹介する.