[認定P-24] 脳梗塞後の摂食嚥下障害に対し在宅において多職種でリハビリテーションに関わった1症例
【緒言】
脳梗塞後遺障害は半年以上経ての回復が困難なことも多い1)。症例は左側脳梗塞後, 右片麻痺, 歩行障害, 失語, 摂食嚥下障害等を持つ。一方, 在宅療養では気持ち, 連携, 環境などの要因が回復に影響する。今回, 訪問歯科診療をきっかけに食形態アップや歩行可能まで回復した一例を経験した。
【症例】
73歳, 女性, 退院後の食形態を上げたいと訪問歯科診療依頼。 2016.7 左側脳梗塞発症, 右片麻痺, 失語症, 摂食嚥下障害のため病院にて治療, リハビリ施行。2017.1 経口ペースト食, 歩行訓練開始となり退院。2017.6初診。医師の指示で言語聴覚士(ST), 理学療法士(PT)介入、当院の提案で管理栄養士(RD)介入。 全身状態:身長142cm 体重24kg BMI 11.9, 車椅子, 着替え介助 摂食嚥下機能:咳嗽弱い, 舌運動巧緻性低下, 軟口蓋反射なし, 口唇閉鎖, 構音, 咀嚼運動, 頬部膨らまし不良, RSST1回, MWST5, 咳反射遅延, DSS4, UDF区分4を左手で摂取 口腔内:7⏈7, 3⏇3残存, 7-4⏇4-7P.D.良好 なお本報告の発表について代諾者から文書による同意を得ている。 【経過】 2017.6ケアマネ, ST, RD, 歯科衛生士(DH)で嚥下内視鏡検査(VE)施行:中等度トロミ水分問題なし, 粥ミキサー誤嚥, ソフト食咽頭残留。左回旋で誤嚥, 鼻咽腔閉鎖不良, DSS4, 藤島Gr7,Lv7。UDF区分3, 交互嚥下, 右回旋指示。多職種で体幹や嚥下機能訓練を進めた。PAP+PLP作製。 2019.4VE, UDF区分2嚥下可能, 咳嗽, 咀嚼, 鼻咽腔閉鎖向上を認めた。DSS, Gr,Lv変化なし。 口腔機能 2019.7 → 2021.6 pa1.8/s ta2/s ka1.8/s → 3.6/3.4/3.4, 舌圧15.9 → 23kPa 2022.7 UDF区分1摂取, 140cm36kg BMI18.4, 歩行移動可能, かかりつけ歯科医に紹介。
【考察】
VEは情報共有や方向性を導く有用な手段とされている2)。今回, 多職種でのVEをきっかけに, 嚥下機能, ADL回復を認め外来通院に至った。 <参考文献> 1)日本脳卒中学会:脳卒中治療 ガイドライン2021.協和企画,東京,2021 2)日本摂食嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会. 嚥下内視鏡検査の手順2012改訂. 日摂食嚥下リハ会誌.2013; 17(1)87-99 (COI開示:なし)(倫理審査対象外)
脳梗塞後遺障害は半年以上経ての回復が困難なことも多い1)。症例は左側脳梗塞後, 右片麻痺, 歩行障害, 失語, 摂食嚥下障害等を持つ。一方, 在宅療養では気持ち, 連携, 環境などの要因が回復に影響する。今回, 訪問歯科診療をきっかけに食形態アップや歩行可能まで回復した一例を経験した。
【症例】
73歳, 女性, 退院後の食形態を上げたいと訪問歯科診療依頼。 2016.7 左側脳梗塞発症, 右片麻痺, 失語症, 摂食嚥下障害のため病院にて治療, リハビリ施行。2017.1 経口ペースト食, 歩行訓練開始となり退院。2017.6初診。医師の指示で言語聴覚士(ST), 理学療法士(PT)介入、当院の提案で管理栄養士(RD)介入。 全身状態:身長142cm 体重24kg BMI 11.9, 車椅子, 着替え介助 摂食嚥下機能:咳嗽弱い, 舌運動巧緻性低下, 軟口蓋反射なし, 口唇閉鎖, 構音, 咀嚼運動, 頬部膨らまし不良, RSST1回, MWST5, 咳反射遅延, DSS4, UDF区分4を左手で摂取 口腔内:7⏈7, 3⏇3残存, 7-4⏇4-7P.D.良好 なお本報告の発表について代諾者から文書による同意を得ている。 【経過】 2017.6ケアマネ, ST, RD, 歯科衛生士(DH)で嚥下内視鏡検査(VE)施行:中等度トロミ水分問題なし, 粥ミキサー誤嚥, ソフト食咽頭残留。左回旋で誤嚥, 鼻咽腔閉鎖不良, DSS4, 藤島Gr7,Lv7。UDF区分3, 交互嚥下, 右回旋指示。多職種で体幹や嚥下機能訓練を進めた。PAP+PLP作製。 2019.4VE, UDF区分2嚥下可能, 咳嗽, 咀嚼, 鼻咽腔閉鎖向上を認めた。DSS, Gr,Lv変化なし。 口腔機能 2019.7 → 2021.6 pa1.8/s ta2/s ka1.8/s → 3.6/3.4/3.4, 舌圧15.9 → 23kPa 2022.7 UDF区分1摂取, 140cm36kg BMI18.4, 歩行移動可能, かかりつけ歯科医に紹介。
【考察】
VEは情報共有や方向性を導く有用な手段とされている2)。今回, 多職種でのVEをきっかけに, 嚥下機能, ADL回復を認め外来通院に至った。 <参考文献> 1)日本脳卒中学会:脳卒中治療 ガイドライン2021.協和企画,東京,2021 2)日本摂食嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会. 嚥下内視鏡検査の手順2012改訂. 日摂食嚥下リハ会誌.2013; 17(1)87-99 (COI開示:なし)(倫理審査対象外)