一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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優秀ポスターコンペティション

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優秀ポスター賞コンペティション
一般部門

2023年6月16日(金) 17:00 〜 18:00 ポスター会場 (1階 G3)

[優秀P一般-1] オーラルフレイル対策サービスORAL FITの有用性検証:パイロットスタディ

○青山 薫英1、内山 千代子1、杉本 真弓1、春田 敏伸1、萩森 敬一1、泉 隆之1、後藤 理絵2、菊谷 武3 (1. ライオン株式会社、2. 公益財団法人ライオン歯科衛生研究所、3. 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック)

【目的】
「食べる・話す・笑う」等の口腔機能は健康維持や社会活動において重要であり,その衰えは生活の質の低下に直結するため早期の対策が求められている。口腔機能のトレーニングには口腔体操等がよく用いられるが,種類が多く自身の状態に適した方法を選別して実践することは難しい。そこで演者らは,専用のキットとスマートフォンアプリで簡便に口腔機能を評価し,その結果を基に利用者が選択したトレーニングメニューを提供するオーラルフレイル対策サービス(ORAL FIT)を開発した。本研究では,口腔機能の衰えを自覚する一般集団に対するORAL FITの有用性検証を目的とした。
【方法】
口腔機能の衰えに関する自覚症状を有する55歳以上75歳未満の男女32名(男性13名,女性19名)にORAL FITを体験させた。ORAL FITでは体験開始時に以下の方法で口腔機能を自己評価してもらった。①唾液分泌量:5分間の安静時唾液分泌量,②舌圧:舌トレーニング用具「ペコぱんだ」(普通・やや硬め・硬めの3種,㈱ジェイ・エム・エス)を押し潰せる最大強度,③滑舌:10秒間連続で「パ」又は「カ」と発音する速度,④咀嚼機能:キシリトール咀嚼チェックガム(㈱ロッテ)を60秒間咀嚼した際のガムの色調変化,⑤嚥下機能:30秒間の唾液嚥下回数。その後,評価結果を基に被験者が選択したトレーニングメニューを2か月間毎日配信し,日々のトレーニングを促した。体験終了時には再度口腔機能を自己評価してもらい,開始時の評価結果と比較した。併せてアンケート調査を実施し,口腔機能の改善実感等を評価した。
【結果と考察】
ORAL FITの体験を全て完了した27名(男性10名,女性17名)を解析対象とした。ORAL FIT体験前後で①唾液分泌量(P=0.005),②舌圧(P<0.001),③滑舌(「パ」の発音速度:P=0.016,「カ」の発音速度:P=0.018)に改善が認められ,特に②舌圧では硬めのペコぱんだ(舌圧30kPa相当)を押し潰せる被験者は3名から19名に増加した。一方,④咀嚼機能,⑤嚥下機能に有意な変化は認められなかった。また,ORAL FIT体験終了時のアンケート調査では,7割以上の被験者が「唾液が出るようになった気がする」,「滑舌が良くなったような気がする」と回答した。本研究により,ORAL FITが口腔機能の衰えを自覚する一般集団の口腔機能を改善する可能性が示された。 (COI 開示:ライオン株式会社) (ライオン株式会社 臨床審査委員会承認番号 357)