[O2-3] 昭和大学病院歯科・歯科口腔外科における周術期等口腔機能管理の現状と課題
【目的】
急性期病院入院患者に対し,医科が求めている病院歯科へのニーズの把握と医科歯科連携の構築を目的として周術期等口腔機能管理の現状と課題を検討したので報告する。
【方法】
2022 年4 月から2022 年9 月の期間に医師から周術期等口腔機能管理の依頼を受けた昭和大学病院、附属東病院入院患者608人を対象とした。診療録を用い後方視的に調査を行った。
【結果と考察】
医師が歯科依頼をした契機は,周術期・化学療法・放射線療法による有害事象予防,発熱・感染症と口腔との関連性,骨吸収抑制薬・血管新生阻害薬の与薬計画,口臭,動揺歯,食思不振,口腔内汚染,口腔内出血,義歯の不具合,口唇裂傷,歯・粘膜痛,嚥下痛,味覚異常,詰め物脱離などであった。気管挿管による有害事象予防目的で口腔内装置を作製した患者は周術期患者の20.8%,有害事象は0例であった。発熱・感染症の原因になりうる口腔内環境に対し,抜歯・根管治療・歯周治療・口腔衛生管理を実施した。口臭・口腔内汚染・口腔内出血は,長期の気管挿管・ステロイド使用,造血幹細胞移植後の移植片対宿主病,脳血管疾患術後の患者に多く認められた。義歯の不具合の背景には,全身状態悪化による歯科受療中断・粘膜乾燥があった。口唇裂傷は,転倒による外傷,義歯クラスプ・残存歯による損傷,食思不振・歯・粘膜痛・嚥下痛・味覚異常は,顎骨壊死,抗がん剤・長期ステロイド使用患者に認められた。病院歯科の役割は,医科的な治療をスムーズ,かつ効果を高めるために歯科医学の知識と技術を提供することと考える。今後の課題は,ニーズ・依頼の増加に対応できる人材と設備を確保し,質の高いチーム医療を担うこと,周術期等口腔機能管理の定量的有効性の検証により,急な入院でも困らない口腔内環境を整えておくことの大切さを患者・多職種・地域医療に拡めることである。 (COI開示:なし) (昭和大学における人を対象とする研究等に関する倫理委員会 承認番号 2638)
急性期病院入院患者に対し,医科が求めている病院歯科へのニーズの把握と医科歯科連携の構築を目的として周術期等口腔機能管理の現状と課題を検討したので報告する。
【方法】
2022 年4 月から2022 年9 月の期間に医師から周術期等口腔機能管理の依頼を受けた昭和大学病院、附属東病院入院患者608人を対象とした。診療録を用い後方視的に調査を行った。
【結果と考察】
医師が歯科依頼をした契機は,周術期・化学療法・放射線療法による有害事象予防,発熱・感染症と口腔との関連性,骨吸収抑制薬・血管新生阻害薬の与薬計画,口臭,動揺歯,食思不振,口腔内汚染,口腔内出血,義歯の不具合,口唇裂傷,歯・粘膜痛,嚥下痛,味覚異常,詰め物脱離などであった。気管挿管による有害事象予防目的で口腔内装置を作製した患者は周術期患者の20.8%,有害事象は0例であった。発熱・感染症の原因になりうる口腔内環境に対し,抜歯・根管治療・歯周治療・口腔衛生管理を実施した。口臭・口腔内汚染・口腔内出血は,長期の気管挿管・ステロイド使用,造血幹細胞移植後の移植片対宿主病,脳血管疾患術後の患者に多く認められた。義歯の不具合の背景には,全身状態悪化による歯科受療中断・粘膜乾燥があった。口唇裂傷は,転倒による外傷,義歯クラスプ・残存歯による損傷,食思不振・歯・粘膜痛・嚥下痛・味覚異常は,顎骨壊死,抗がん剤・長期ステロイド使用患者に認められた。病院歯科の役割は,医科的な治療をスムーズ,かつ効果を高めるために歯科医学の知識と技術を提供することと考える。今後の課題は,ニーズ・依頼の増加に対応できる人材と設備を確保し,質の高いチーム医療を担うこと,周術期等口腔機能管理の定量的有効性の検証により,急な入院でも困らない口腔内環境を整えておくことの大切さを患者・多職種・地域医療に拡めることである。 (COI開示:なし) (昭和大学における人を対象とする研究等に関する倫理委員会 承認番号 2638)