The 34th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(口演発表)

一般演題(口演発表) » [一般口演2] 実態調査

一般口演2
実態調査

Sat. Jun 17, 2023 1:25 PM - 2:15 PM 第3会場 (3階 G304)

座長:
河相 安彦(日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座)
内藤 真理子(広島大学大学院医系科学研究科口腔保健疫学)

[O2-5] 睡眠時無呼吸症候群患者における夜間頻尿とOA治療の効果

○小林 充典1 (1. 医療法人社団美心会 黒沢病院)

【目的】
夜間頻尿は「夜間排尿のために1回以上起きなければならないという訴えである」と定義され、加齢に伴い男女とも頻度が増加し、睡眠を分断することからも生活の質(QOL)の低下に強く関与している。閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は夜間頻尿を合併症として起こすことが知られていることからOSA治療による夜間頻尿の改善効果について検討した。
【方法】
当科にて、睡眠時無呼吸症候群の治療のため、OA(口腔内装置)にて治療を行ったOSA患者243名(男性173名、女性69名)を対象として、OA治療前・後の夜間排尿の回数について調査を行い、65歳以上高齢者(以下高齢者群)51名(男性30名、女性20名)における夜間頻尿回数の変化について検討した。
【結果と考察】
OA治療前に1回以上夜間頻尿があった患者は全体で153名(63.2%)、高齢者群41名(80.4%)、うち2回以上あった患者は全体で79名(32.6%)、高齢者群31名(60.8%)であった。OA治療後の改善効果について、1回以上の夜間頻尿患者のうち全体で102名の患者(66.7%)、高齢者群22名(53.7%)に、2回以上の排尿回数では全体で58名(73.4%)、高齢者群20名(64.5%)に夜間排尿回数の減少が見られた。一晩に2回トイレのために起きていた高齢者群患者のうち16人(37.2%)は、OA治療後は朝までトイレに起きずに寝られるようになった。OA治療前に1回以上夜間頻尿があった患者のOSAの重症度別では、全体では軽症62名(40.5%)中等症61名(39.9%)重症30名(19.6%)で各群ともOA治療後に排尿回数は有意に減少(p<0.01)、高齢者群では軽症19名(46.3%)中等症15名(36.6%)重症7名(17.1%)であり、軽症および中等症群では排尿回数は有意に減少したが(p<0.01)、重症群では有意な減少は見られなかった。OSA治療により夜間の呼吸状態が改善され、体内のバソプレッシン等のホルモンや自律神経のバランスが改善されることにより膀胱内圧の上昇が消失し、夜間頻尿が改善するものと考えられる。これまで経鼻的持続陽圧呼吸法CPAPが夜間頻尿改善の効果を示している報告はある。今回の結果から、高齢者においてもOSAをOAにて治療することで夜間頻尿改善の効果は十分期待出来るものと考えられる。
(COI開示:なし)(倫理審査委員会承認番号:2022-08-01)