一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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一般演題(口演発表)

一般演題(口演発表) » [一般口演6] 教育/オーラルフレイル・口腔機能低下症

一般口演6
教育/オーラルフレイル・口腔機能低下症

2023年6月18日(日) 14:10 〜 15:20 第3会場 (3階 G304)

座長:
服部 佳功(東北大学 大学院歯学研究科 リハビリテーション歯学講座 加齢歯科学分野)
渡邊 裕(北海道大学大学院歯学研究院口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室)

[O6-2] 歯科診療所における管理栄養士の居宅療養管理指導実施に向けた教育支援事業の取組と今後の課題

○稲山 未来1,2 (1. Kery栄養パーク、2. ふれあい歯科ごとう)

【目的】
近年の歯科医院における管理栄養士雇用の増加に伴い,歯科と連携した管理栄養士の働き方に注目が集まっている。とりわけ在宅医療において歯科医師と協働する事により包括的な食支援を行う取組は,管理栄養士の真価が発揮されるものであるといえるが,歯科医院に従事する管理栄養士が訪問栄養食事指導を実施しているケースは全国的に見てもまだ少数である。訪問栄養食事指導を実施していない背景には,管理栄養士が居宅療養管理指導算定のための介護保険の基礎知識が不足している事,また在宅高齢者の栄養管理に関わる知識が不足している事と考え,本事業所では2021年6月より,歯科医院における管理栄養士の居宅療養管理指導実施に向けた教育支援事業を開始した。この取組の現状と今後の課題について報告する。
【方法】
まずは歯科医院向けにプレセミナーを実施し参加者の中から教育支援の希望医院を募った。セミナーは歯科医院に従事する管理栄養士に向けて実施し,所属医院の歯科医師,歯科衛生士は見学可能とした。教育支援の内容としては,歯科医院で管理栄養士の居宅療養管理指導を算定するための要件や,歯科訪問診療の対象患者に対して栄養スクリーニングを行う方法,具体的な栄養介入手段についてをオンラインで講義を行った。
【結果と考察】
2021年6月から2022年5月までの1年間で教育支援を受講したのは4医院(管理栄養士6名、歯科医師3名)であった。教育支援終了半年後の時点で訪問栄養食事指導が実施出来ていた医院は2医院、残り2医院は介入まで至る事はなかった。介入に至らなかった医院では,訪問栄養食事指導の介入対象者の選定を行う事は出来たが,主治医から指示書を頂く事が出来ずに頓挫するケースもあった。歯科医師からは,歯科訪問診療においてどのような患者に栄養介入を勧めるべきかの判断に苦慮しているという意見があった。歯科に従事する管理栄養士は口腔機能への知識に長けている事から,専門的知識を活用した高レベルな栄養介入が可能であると改めて感じた。一方で,歯科医院における訪問栄養食事指導の導入にあたっては,対象患者の選定や患者への栄養指導の提案,主治医との連携など管理栄養士だけでは完結することが出来ないため,歯科訪問診療に関わる歯科医師,歯科衛生士との連携が必要不可欠であり医院を巻き込んで実施していく必要があると感じた。(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)