[O6-6] 口唇閉鎖力低下と口腔機能低下の関連性
【目的】
口唇閉鎖力は臼歯部の咬合状態や舌圧,摂食嚥下機能,握力と関連し,加齢に伴い低下することが報告されている。しかし,口唇閉鎖力低下を口腔機能の低下であるオーラルフレイルの一症状ととらえた際の,口唇閉鎖力と他の口腔機能との関係は明らかではない。本発表では,口腔機能の定量的評価である口腔機能低下症の検査結果と,口唇閉鎖力の関連性について報告する。
【方法】
当院歯科外来を受診した50歳以上の初診患者を対象に,問診および口腔機能精密検査,口唇閉鎖力測定を行った。口腔機能精密検査は口腔衛生状態,口腔湿潤度,咬合力,舌口唇運動機能,舌圧,咀嚼機能,嚥下機能の7項目を実施し,うち3つ以上に機能低下を認めた場合,口腔機能低下症と診断した。口唇閉鎖力は,口唇閉鎖力測定器りっぷるくんを用いて3回測定し,平均値を求めた。統計解析は,2標本の群間比較にはt検定もしくはマンホイットニーのU検定,2変量の相関関係についてはピアソンの積率相関係数もしくはスピアマンの順位相関係数を用いた。有意水準は0.05とした。
【結果と考察】
2022年1月から2023年1月末までに評価を受けた85名のうち,口腔機能低下症の該当者は29名(34.1%)だった。口腔機能低下症該当群と非該当群の平均口唇閉鎖力はそれぞれ9.4Nと12.2Nとなり,有意差がみられた(P<0.001)。検査7項目ごとに,基準値をもとに機能低下あり群となし群の2群に分けて口唇閉鎖力を比較したところ,咬合力(P=0.001),舌圧(P=0.004),咀嚼機能(P=0.048)で有意差がみられた。各検査値と口唇閉鎖力との間で有意な相関が認められたのは,口腔衛生状態(r=-0.294),咬合力(r=0.380),舌口唇運動機能の/pa/(r=0.220),舌圧(r=0.408),咀嚼機能(r=0.368),口腔機能精密検査の機能低下項目該当数(r=-0.315)だった. 口唇閉鎖力やその低下は,口唇運動の巧緻性だけでなく,咀嚼などの口腔周囲筋の協調的な運動に関わる項目にも関連することが示唆された。 (COI 開示:なし) (新潟大学 倫理審査委員会承認番号 2019-0085)
口唇閉鎖力は臼歯部の咬合状態や舌圧,摂食嚥下機能,握力と関連し,加齢に伴い低下することが報告されている。しかし,口唇閉鎖力低下を口腔機能の低下であるオーラルフレイルの一症状ととらえた際の,口唇閉鎖力と他の口腔機能との関係は明らかではない。本発表では,口腔機能の定量的評価である口腔機能低下症の検査結果と,口唇閉鎖力の関連性について報告する。
【方法】
当院歯科外来を受診した50歳以上の初診患者を対象に,問診および口腔機能精密検査,口唇閉鎖力測定を行った。口腔機能精密検査は口腔衛生状態,口腔湿潤度,咬合力,舌口唇運動機能,舌圧,咀嚼機能,嚥下機能の7項目を実施し,うち3つ以上に機能低下を認めた場合,口腔機能低下症と診断した。口唇閉鎖力は,口唇閉鎖力測定器りっぷるくんを用いて3回測定し,平均値を求めた。統計解析は,2標本の群間比較にはt検定もしくはマンホイットニーのU検定,2変量の相関関係についてはピアソンの積率相関係数もしくはスピアマンの順位相関係数を用いた。有意水準は0.05とした。
【結果と考察】
2022年1月から2023年1月末までに評価を受けた85名のうち,口腔機能低下症の該当者は29名(34.1%)だった。口腔機能低下症該当群と非該当群の平均口唇閉鎖力はそれぞれ9.4Nと12.2Nとなり,有意差がみられた(P<0.001)。検査7項目ごとに,基準値をもとに機能低下あり群となし群の2群に分けて口唇閉鎖力を比較したところ,咬合力(P=0.001),舌圧(P=0.004),咀嚼機能(P=0.048)で有意差がみられた。各検査値と口唇閉鎖力との間で有意な相関が認められたのは,口腔衛生状態(r=-0.294),咬合力(r=0.380),舌口唇運動機能の/pa/(r=0.220),舌圧(r=0.408),咀嚼機能(r=0.368),口腔機能精密検査の機能低下項目該当数(r=-0.315)だった. 口唇閉鎖力やその低下は,口唇運動の巧緻性だけでなく,咀嚼などの口腔周囲筋の協調的な運動に関わる項目にも関連することが示唆された。 (COI 開示:なし) (新潟大学 倫理審査委員会承認番号 2019-0085)