一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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ポスター発表1
実態調査

2023年6月17日(土) 10:00 〜 10:30 ポスター会場 (1階 G3)

座長:尾崎 由衛(歯科医院 丸尾崎)

[P04] 地域一般住民を対象とした多項目・短時間唾液検査システムの有用性の検討 能勢健康長寿研究(のせけん)

○伏田 朱里1、高阪 貴之1、高橋 利士1、池邉 一典1 (1. 大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座有床義歯補綴学・高齢者歯科学分野)

【目的】
多項目・短時間唾液検査システム(Salivary Multi Test:以下SMT,ライオン,東京,日本)は,唾液を用いて口腔環境およびう蝕,歯周病などの口腔疾患の発症リスクを評価する簡便で非侵襲的な検査法であり,長時間の開口が困難な高齢者における歯周病のスクリーニング検査としての応用が期待できる。本研究では,65歳以上の高齢者を対象に,SMTの歯周病に関連する項目の測定結果と口腔内の臨床検査結果との関連について検討を行った。
【方法】
本研究は,2022年8月から12月の調査に参加した,大阪府豊能郡能勢町在住の65歳以上の高齢者459名(男性173名,女性286名)のうち,20歯以上残存し,かつ評価項目のデータに欠損のない者251名(男性91名,女性160名)を分析対象とした。口腔内検査,歯周組織検査に先立ち,SMTによる測定を行った.対象者に,蒸留水3mLを口に含ませ,10秒間軽く洗口した後の吐出液を採取し,SMT測定を行った。対象者の歯周状態については,部分診査法によるCommunity Periodontal Index(CPI)に基づき,上下顎左右側の第一大臼歯および第二大臼歯,上顎右側中切歯,下顎左側中切歯の合計10歯について,歯周ポケット深さ,およびプロービング時の出血の有無について評価した。 対象者を,4mm以上の歯周ポケットの有無により歯周ポケットあり群/なし群,プロービング時の出血の有無により出血あり群/なし群に分類し,SMTの「潜血」,「白血球」,「たんぱく質」との関連について,Mann-WhitneyのU検定を用いて検討した.有意水準は5%とした。
【結果と考察】
4mm以上の歯周ポケットあり群は,なし群と比較し,「潜血」,「たんぱく質」の値が高く,有意差を認めた。プロービング時の出血あり群は,なし群と比較し,「潜血」,「たんぱく質」の値が高く,有意差を認めた。「白血球」については,4mm以上の歯周ポケットの有無およびプロービング時の出血の有無との間に有意な関連を認めなかった。 本研究より,65歳以上の高齢者において, SMTの「潜血」,「たんぱく質」は歯周病を反映する指標として有用である可能性が示された。(COI開示:なし)(大阪大学大学院歯学研究科・歯学部及び歯学部附属病院倫理審査委員会番号 R4-E7)