一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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ポスター発表4
症例・施設

2023年6月17日(土) 10:30 〜 11:00 ポスター会場 (1階 G3)

座長:堀 一浩(新潟大学大学院医歯学総合研究科包括歯科補綴学分野)

[P19] COVID-19罹患を契機に発症した摂食嚥下障害に対し多職種介入を行った一例

○橋本 富美1,3、飯田 良平2、門田 義弘1、齊藤 理子2、光永 幸代3 (1. 医療法人社団 廣風会 老人保健施設 ラ・クラルテ、2. 医療法人社団 為世為人会 ヒューマンデンタルクリニック、3. 地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立がんセンター)

【緒言・目的】 高齢者はCOVID-19罹患により種々の機能低下をきたす可能性がある。今回,COVID-19罹患後に誤嚥性肺炎を発症し,低栄養や嚥下機能の増悪,廃用症候群の進行を認めた利用者に対し,多職種によるリハビリテーションにより栄養状態や嚥下機能に改善を認めた一例を経験したので報告する。 【症例および経過】 80歳代,男性。大腿骨転子部骨折,高血圧症,脂質異常症,脊柱管狭窄症の既往あり。 COVID-19罹患後も施設内で療養していたが,PCR検査陽性確認から23日後に反復性の発熱,酸素飽和度低下により緊急搬送された。誤嚥性肺炎,麻痺性イレウスにより医療機関で1か月入院治療後,再入所となった。再入所時の全身状態はGLIM重度栄養障害。HDS-R:18/30。SARC-F:20点。握力:15.3㎏。食形態:日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021(以下、調整食分類)2-2。口腔内所見はOHAT-J:5。TCI:66%。残存歯:10歯,義歯安定剤使用による咬合力低下。オーラルディアドコキネシス:Pa/Ta/Ka平均2.0回/秒による舌口唇運動機能低下。EAT10:29点 COVID-19罹患や入院時の長期臥床の影響により嚥下機能の増悪を認め,ADLも以前より介助が必要な状態であった為,理学療法士による基本動作訓練や歩行訓練と並行し,言語聴覚士と摂食嚥下機能療法を計画した。言語聴覚士は間接嚥下訓練(経皮的電気刺激,舌骨上筋群の賦活)を実施した。歯科衛生士は専門的口腔ケア,舌筋力増強訓練を実施し,口腔衛生状態維持の為,本人,介護職員へ口腔ケアの指導を行った。その結果OHAT-J:3。TCI:20%と改善が見られた。食事摂取量も増え体重40.9㎏(BMI:15.9)から44.0㎏(BMI:17.2)と増加した。施設訪問歯科医師によりVEによる摂食嚥下機能評価を実施した結果,調整食分類3へ食形態を変更することができた。 なお,本報告の発表は本人より同意を得ている。 【考察】 COVID-19罹患後の摂食嚥下障害の利用者に対し,「普通のものが食べたい」という希望を実現させようと専門性の違う多職種が共通認識し介入したことにより嚥下機能の改善が認められた。本症例から多職種は役割分担だけではなく連携し補完し合えることでより良い支援に繋がったと考える。 (COI開示なし)