一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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一般演題(ポスター発表)

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ポスター発表5
一般

2023年6月17日(土) 15:15 〜 15:45 ポスター会場 (1階 G3)

座長:永尾 寛(徳島大学大学院 口腔顎顔面補綴学分野)

[P24] 高齢嚥下障害患者に対するとろみ付き炭酸飲料の効果

○大久保 正彦1,4、森下 元賀2、遠藤 眞央3,4、阪口 英夫3,4 (1. 埼玉医科大学医学部口腔外科学教室、2. 吉備国際大学理学療法学科、3. 永寿会陵北病院、4. 永寿会恩方病院歯科・歯科口腔外科)

【目的】
 とろみのある水分は嚥下反射惹起遅延がみられる嚥下障害患者に対し広く臨床現場で使用されており,炭酸水は普通の水やとろみのある水と比較して咽頭通過時間が短くなることが報告されている。さらに,嗜好性の高い食品は大脳の嚥下関連ネットワークを強化することも知られているため,炭酸飲料は炭酸水よりも嚥下改善に効果的である可能性がある。したがって,とろみ付き炭酸飲料は安全に水分を摂取するための新しい手法となる可能性がある。本研究では,複合疾患を有する高齢の嚥下障害患者を対象に,とろみ付き炭酸飲料の嚥下動態を明らかにすることを目的とした。
【方法】
 通常の水(Thin),とろみ水(Thick),炭酸水(C-Thin),とろみ付き炭酸飲料(C-Thick)を無作為の順序で嚥下した様子を嚥下内視鏡で評価した。Thick、C-Thickともにキサンタンガムを使用し粘度を100mPa・s とし,炭酸ガス溶解量は2.0GVになるように調整した。咽頭内の分泌物はMSS(Murray Secretion Scale),喉頭侵入および誤嚥はPAS(Penetration Aspiration Scale)咽頭残留はYPR-SRS(Yale Pharyngeal Reserve Severity Rating Scale)嚥下反射の開始は兵藤スコアを用いてスコア化した。主観的嚥下困難感の評価にはフェイススケールを使用した。液体ごとのPAS,YPR-SRS,主観的嚥下困難感に関して,フリードマン検定で比較を行い,ボンフェローニ法で多重比較を行った。液体ごとのPAS,YPR-SRS,兵頭スコア,主観的嚥下困難感の関係は,スピアマンの順位相関を用いて検討した。
【結果と考察】
 PASはC-Thick群でThin群より有意に低かった(p < 0.05)。嚥下反射の開始はC-Thick群でThin群より有意に低かった(p < 0.01)。C-Thickの主観的な嚥下困難感は,Thick群に比べ有意に低かった(p<0.05)。C-ThickのYPR-SRSと兵頭スコア(嚥下反射惹起性)との間に有意な正の相関が観察された(r=0.65)。 C-ThickはThickよりも嚥下しやすく,複合疾患を有する高齢嚥下障害患者に安全な水分摂取方法に応用できると考えられた。(COI開示:なし)( 横浜いずみ台病院倫理審査委員会承認番号20210408-1)