一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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一般演題(ポスター発表)

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ポスター発表5
一般

2023年6月17日(土) 15:15 〜 15:45 ポスター会場 (1階 G3)

座長:永尾 寛(徳島大学大学院 口腔顎顔面補綴学分野)

[P26] PTH製剤の口腔内間歇的投与がインプラント周囲の骨量と骨質に与える影響の検索

○黒嶋 伸一郎1、佐々木 宗輝1、小堤 涼平1、村田 比呂司2 (1. 長崎大学生命医科学域(歯学系)口腔インプラント学分野、2. 長崎大学生命医科学域(歯学系)歯科補綴学分野)

【目的】
 副甲状腺ホルモン(PTH)は骨粗鬆症治療薬として使用されている。一方,インプラント治療希望の高齢患者は依然として増加しており,骨粗鬆症を疾患として有している場合が多い.本研究の目的は,PTH製剤の口腔内間歇的投与が全身に与える影響とインプラント周囲の骨量と骨質に与える影響を検索することにある。
【方法】
 7週齢で卵巣摘出した18週齢の雌性Wistar系ラットの上顎両側第1大臼歯を抜歯して3週後に,開発済みラット用インプラントを同治癒部位に埋入してラットを無作為に2群に分けた。一方の群にはインプラント埋入と同時にPTH製剤を右側インプラント近傍へ毎日頬粘膜下投与し,その2週間後に屠殺した(実験群)。残りの群は同部位に生理食塩水を頬粘膜下投与した。上顎骨と長管骨を採取して各種解析を行った(対照群)。
【結果と考察】
 はじめに長管骨の解析をしたところ,実験群は対照群と比較して骨量と骨密度の有意な増大を認めたことから,PTH製剤の頬粘膜下投与は全身投与と同様の効果を有することが分かった。一方,インプラント周囲骨を解析すると,実験群は対照群と比較して骨量が有意に増大し,骨芽細胞と破骨細胞の分布が有意に増加するとともに,スクレロスチン陽性骨細胞は有意に減少していることが分かった。以上から,PTH製剤の口腔内局所投与は現時点では適応外使用であるものの,骨粗鬆症患者のインプラント治療に有用な投与法であることが示唆された。
(COI開示:なし)
(長崎大学倫理委員会承認番号 2108271741)