[P30] 回復期リハビリテーション病棟入退院時の口腔機能と身体機能の関連性
【目的】
口腔機能と栄養状態に関する多くの研究報告がされ,健康長寿にとっての口腔機能管理の重要性が増している。本研究の目的は,回復期リハビリテーション病棟に入院した高齢患者を対象に,入退院時の口腔機能,身体機能の実態を明らかにし,口腔機能が自立度の変化にどのように関連しているかを調査することであった。
【方法】
対象は2020年の10月から2022年12月までにA 病院の回復期リハビリテーション病棟で圧迫骨折,大腿骨骨折のために入院した高齢者25名(女性19名,男性6名)とした。脳梗塞による麻痺を有する者,同意取得が困難な者,重度認知症(MMSE≦10)の者は除外した。調査項目は,入退院時の基本属性,入院原因疾患,機能的自立度評価法(FIM),FIM利得(退院時FIM-入院時FIM)口腔機能(口腔乾燥,口腔衛生状態,咀嚼機能,咬合圧,舌圧,嚥下機能,舌口唇運動機能)とした。入院期間中に口腔機能が維持できていた群(維持群)と低下した群(低下群)の2群間で評価項目の比較,検討を行った。
【結果と考察】
対象者25名の平均年齢は84.6±5.9歳であり,92%が後期高齢者であった。平均現在歯数は17.8±8.6本であり,21人(84%)が義歯を使用していた。平均FIM合計点数は入院時73.3±17.2点,退院時97.0±17.7点であった。咀嚼機能維持群および低下群のFIM利得は24.7±8.4点,および23.0±14.7点であり,統計学的な有意差を認めた(P=0.020)。しかしながら他の口腔機能では統計学的な有意差を認めなかった。 以上より,回復期リハビリテーション病棟入院患者において咀嚼機能を維持できていた者はFIM利得のより高い向上を認め,口腔機能を維持することでリハビリの効果を得やすくなることを示唆する結果となった。
(COI開示:なし) (原土井病院 倫理委員会承認番号 2020-01)
口腔機能と栄養状態に関する多くの研究報告がされ,健康長寿にとっての口腔機能管理の重要性が増している。本研究の目的は,回復期リハビリテーション病棟に入院した高齢患者を対象に,入退院時の口腔機能,身体機能の実態を明らかにし,口腔機能が自立度の変化にどのように関連しているかを調査することであった。
【方法】
対象は2020年の10月から2022年12月までにA 病院の回復期リハビリテーション病棟で圧迫骨折,大腿骨骨折のために入院した高齢者25名(女性19名,男性6名)とした。脳梗塞による麻痺を有する者,同意取得が困難な者,重度認知症(MMSE≦10)の者は除外した。調査項目は,入退院時の基本属性,入院原因疾患,機能的自立度評価法(FIM),FIM利得(退院時FIM-入院時FIM)口腔機能(口腔乾燥,口腔衛生状態,咀嚼機能,咬合圧,舌圧,嚥下機能,舌口唇運動機能)とした。入院期間中に口腔機能が維持できていた群(維持群)と低下した群(低下群)の2群間で評価項目の比較,検討を行った。
【結果と考察】
対象者25名の平均年齢は84.6±5.9歳であり,92%が後期高齢者であった。平均現在歯数は17.8±8.6本であり,21人(84%)が義歯を使用していた。平均FIM合計点数は入院時73.3±17.2点,退院時97.0±17.7点であった。咀嚼機能維持群および低下群のFIM利得は24.7±8.4点,および23.0±14.7点であり,統計学的な有意差を認めた(P=0.020)。しかしながら他の口腔機能では統計学的な有意差を認めなかった。 以上より,回復期リハビリテーション病棟入院患者において咀嚼機能を維持できていた者はFIM利得のより高い向上を認め,口腔機能を維持することでリハビリの効果を得やすくなることを示唆する結果となった。
(COI開示:なし) (原土井病院 倫理委員会承認番号 2020-01)