一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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一般演題(ポスター発表)

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ポスター発表6
一般

2023年6月17日(土) 15:45 〜 16:10 ポスター会場 (1階 G3)

座長:小松 知子(神奈川歯科大学全身管理歯科学講座障害者歯科学分野)

[P33] 高齢者の唾液分泌量と咬合状態との関係性

○新明 桃1、小林 利彰1、鬼木 隆行1、田崎 雅和2 (1. 公益財団法人ライオン歯科衛生研究所、2. 東京歯科大学)

【目的】  
唾液は口腔や咽頭の健康を保つために有用な役割を果たしている。本研究では,高齢者の刺激唾液分泌量の実態および咬合状態が唾液分泌に与える影響を検討した。
【方法】
2022年10月より歯科医院3件に来院した患者のうち,本研究に同意が得られた60~80代の患者71名(男性36名,女性35名,平均年齢:73.2±7.0歳)を対象とした。歯科医院にて仮名加工情報にしたデータを入手し,年齢, 性別, およびアイヒナー分類(咬合支持域をA,B,Cの3群に分類)を用いた咬合状態と刺激唾液量との関連性について解析した。年齢はKruskal-Wallis検定,性別はMann-WhitneyのUの検定,アイヒナー分類はKruskal-Wallis検定および多重比較検定としてSteel-Dwass検定を用いて解析した。刺激唾液量はガム(サリバーガムα,東京歯材社,東京)を3分間咀嚼した時の総唾液量を重量(g)で求めた。
【結果と考察】
性別における刺激唾液量は,男性の方が女性より有意に高かった(男性:5.28±3.67g,女性:3.03±2.30g,p<0.01)。また,咬合状態と唾液との関係性はアイヒナー分類において,A群の方がB群より刺激唾液量が有意に高かった(A群:4.99±3.08,B群:3.63±3.75,p<0.05)。一方,年代別にみると刺激唾液量は,各年代間で有意な差が認められなかった(60代:4.44±2.85g,21名,70代:4.50±3.57g,33名,80代:3.22±3.07g,17名)。本結果より,刺激唾液量は年代による影響よりも,性別と咬合状態による影響が大きいことが示唆された。特にアイヒナー分類において,A群からB群へと歯の咬合支持域の減少に伴い刺激唾液量も減少したことを考えると,自身の歯での咬合維持が刺激唾液分泌に影響を与える可能性が推測された。
【謝辞】  
本研究にあたり多大なるご協力を賜りました佐塚歯科医院 佐塚仁一郎院長,原島歯科医院 原島晃院長,野村歯科医院 野村登志夫院長に深甚なる謝意を表します。
(COI開示:なし)
(日本歯科医療管理学会 倫理審査委員会承認番号 日歯医療管理-202201号, 公益財団法人ライオン歯科衛生研究所 倫理審査委員会承認番号 R4-3)