一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

一般演題(ポスター発表) » [ポスター発表7] オーラルフレイル・口腔機能低下症

ポスター発表7
オーラルフレイル・口腔機能低下症

2023年6月17日(土) 15:15 〜 15:45 ポスター会場 (1階 G3)

座長:中島 純子(東京歯科大学オーラルメディシン・病院歯科学講座)

[P35] 咀嚼能力検査用グミゼリーの物性検討と口腔機能との関連性評価

○柿沼 祐亮1、福島 庄一1、篠﨑 裕1 (1. 株式会社ジーシー)

【目的】
 咀嚼能力検査装置グルコセンサーGS-ⅡN(ジーシー)は,グルコース含有グミ「グルコラム」を一定時間咀嚼し,グミから溶出されるグルコース量から咀嚼機能を測定することができる。当検査は,有床義歯患者や口腔機能低下症の咀嚼機能を検知するための手法である。一方で,口腔機能障害のような咀嚼機能が著しく低下した患者にとって,既存グミの硬さでは咀嚼粉砕することができず,咀嚼機能の段階的評価が困難である。 本研究では,グルコラムの硬さを低減したグミ試作品を作製した。これらの物性及び咀嚼機能に対するグルコース溶出挙動を評価する。さらに,咬合力および舌圧との関連性について検討を行う。
【方法】
 硬さの異なるグルコース含有グミ(グルコラム,試作品A)の50%歪み荷重および破断荷重をクリープメーター(RE2-33005,山電)で測定した。グミを用いた咀嚼能力検査を,株式会社ジーシーに勤務する健常有歯顎者24名を対象として行った。各被験者は,グルコセンサーGS-ⅡNの検査手順に基づき,各種グミを主咀嚼側で咀嚼し,飲料水10mLを口腔内に含んだ後,咀嚼物を水と一緒に濾過用メッシュを載せたコップに吐き出して濾液中のグルコース溶出量を測定した。本研究では,グミの咀嚼時間を10,20,30秒間とし,咀嚼時間に対するグルコース溶出挙動を評価した。グミの物性値およびグルコース溶出量について,t検定による2群間比較を行った。咬合力はデンタルプレスケールⅡ(ジーシー),舌圧はJMS舌圧測定器(ジーシー)を用いて測定を行い,咀嚼機能との関連性を重回帰分析により解析した。
【結果と考察】
 試作品Aの歪み荷重および破断荷重は,グルコラムと比較して有意に低い値を示した(P<0.01)。試作品Aはグルコラムよりも柔らかく,咀嚼しやすい食感を有していることが示された。試作品Aの咀嚼時間に対するグルコース溶出量は,グルコラムと比較して各時間で有意に高い値を示した(P<0.01)。一方で,20-30秒間のグルコース溶出量の増大は少なく,やや飽和的な挙動を示していた。咀嚼時間に対するグミの粉砕が,試作品Aの方が効率的に行われたと考える。また,被験者の咬合力および舌圧との関連性も認められた。従って,検査用グミの硬さを低減させることで口腔機能が著しく低下した患者でも咀嚼粉砕が可能となり,咀嚼機能の段階的評価手法としての有用性が示唆された。
(COI開示:株式会社ジーシー)(株式会社ジーシー倫理審査委員会承認番号:RP2202)