一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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一般演題(ポスター発表) » [ポスター発表7] オーラルフレイル・口腔機能低下症

ポスター発表7
オーラルフレイル・口腔機能低下症

2023年6月17日(土) 15:15 〜 15:45 ポスター会場 (1階 G3)

座長:中島 純子(東京歯科大学オーラルメディシン・病院歯科学講座)

[P39] 80歳以上の高齢者における口腔機能低下症と全身状態の関連性

○吉田 貴政1、西尾 健介1、岡田 真治1、柳澤 直毅1、高橋 佑和1、西川 美月1、伊藤 智加1、飯沼 利光1 (1. 日本大学歯学部歯科補綴学第Ⅰ講座)

【目的】 口腔機能低下症(oral hypofunction : OHF)は,2018年に高齢者の口腔機能の管理を推進すべく新たに保険収載され,日常の臨床においてより身近な疾患となった。OHFの発症と全身状態の関連性は,これまでに数多く報告されてきた。しかし,それらの報告は65歳以上の高齢者を対象としており,OHFの予防による健康寿命の延伸を目指すのであれば,より高齢な被験者におけるOHFと全身状態に関するエビデンスの充足が必要と考える。そこで本研究では80歳以上の高齢者を対象に,OHF発症の有無と全身状態の関連性について検討した。

【方法】 当講座では,本学同窓会の協力のもと,80歳以上の高齢者の口腔機能と全身状態の関連を検討すべく,全国規模での疫学調査を実施している。本研究では,そこで得られたデータをもとに地域歯科医院に通院する80歳以上のメインテナンス期にある患者を対象に,2021年5月~2022年12月の期間に調査を実施した116名の結果について報告する(平均年齢83.8±2.8歳,男性62名,女性54名)。測定項目はOHFの評価と,アンケート等による全身状態の評価とした。全身状態の項目として,身長・体重・BMI・握力・日常生活動作(activities of daily living:ADL,<100以下の割合),基本チェックリスト(総合点と8点以上の割合),認知機能(mini mental state examination:MMSE,総合点と24点未満の割合), 精神健康状態(the world health organization-five well-being index:WHO-5)とした。 OHF発症の有無が各項目に及ぼす影響の解析には,連続変数ではt-testとMann–Whitney U test, カテゴリー変数はChi-squared testを用いて検討した。

【結果と考察】 被験者のOHF有病率は50%(58名)であった。身長,BMI,握力はOHF発症の有無による有意差を認めなかった。体重,WHO-5はOHFの有病者の方が有意に低かった(p < 0.05)。一方で,ADL,基本チェックリスト総合点,基本チェックリスト>8の割合,MMSE総合点,MMSE<24の割合はOHFの有病者の方が有意に高かった(p < 0.05)。 以上より本研究の被験者では,OHFに罹患していない被験者は,今回の健康状態に関する項目の測定値が良好であり,80歳以上の高齢者であっても,OHFを予防することで健康寿命の延伸に寄与できる可能性が示唆された。
(COI 開示:なし) (日本大学歯学部 倫理委員会承認番号 EP20D-001)