一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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ポスター発表8
オーラルフレイル・口腔機能低下症/加齢変化・基礎研究/全身管理・全身疾患

2023年6月17日(土) 15:45 〜 16:10 ポスター会場 (1階 G3)

座長:大久保 真衣(東京歯科大学  口腔健康科学講座 摂食嚥下リハビリテーション研究室)

[P43] 自立高齢者のプレフレイル状態と口腔機能に関する調査
―嚥下にかかわる項目を中心に―

○中川 美香1、田村 暢章1、小林 真彦1、松田 玲於奈1、竹島 浩1 (1. 明海大学歯学部病態診断治療学講座高齢者歯科学分野)

【目的】
 嚥下機能の維持・向上は栄養状態の向上にも繋がり,高齢者のフレイル予防としても重要である。フレイルは健常から要介護状態に至る前段階であり,身体機能障害に陥りやすい反面,適切な介入により改善が可能な状態であるとされている。そこで今回,65歳以上の自立高齢者における身体の状態と嚥下に対する自覚,口腔内状況を検討し,自立高齢者のプレフレイル段階で歯科に関わる内容から簡便に嚥下機能低下を探索することを目的とした。

【方法】
 明海大学歯学部付属明海大学病院口腔外科およびインプラントセンターを通院中の本研究に同意した,フレイルと診断されなかった65歳以上の自立高齢患者30名(男性20名、女性10名)を対象とした。嚥下の調査項目として,厚生労働省の基本チェックリスト,歯科疾患実態調査の「歯や口の調査項目」のうち嚥下に関する質問項目を使用した.また身体的フレイル評価基準は,J-CHS 基準 ( J-Cardiovascular Health Study ) を用いた。口腔機能検査については,嚥下に関わる項目として,口腔衛生状態,口腔乾燥状態,舌口唇運動機能,舌圧,口唇閉鎖力を測定した。

【結果と考察】
 身体的フレイル評価により健常者は15名,プレフレイル1は13名,プレフレイル2は2名の3群に分けられた。質問項目において,3群間の比較をFisher’s Exact Testで頻度の有意性を検討したところ,この3群間において「飲み込みにくい」 ( p < 0.01 ) のみが有意差を認めた。また口腔機能検査項目において,3群間の比較をKruskal Wallisの多重比較を行ったところ,口腔衛生状態 ( p < 0.05 ) に有意差を認めた。これらの結果から,プレフレイルを簡便に探索する質問項目は「飲み込みにくい」である可能性が示唆された。また,口腔衛生状態評価の舌苔付着程度 ( TCI ) がプレフレイル者をスクリーニングする項目になる可能性が示唆された。
(COI開示:なし)
(明海大学歯学部倫理委員会承認番号 A2006)