一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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一般演題(ポスター発表)

一般演題(ポスター発表) » [ポスター発表10] 地域歯科医療/介護・介護予防

ポスター発表10
地域歯科医療/介護・介護予防

2023年6月18日(日) 10:25 〜 10:45 ポスター会場 (1階 G3)

座長:伊原 良明(昭和大学歯学部口腔健康管理学講座口腔機能リハビリテーション医学部門)

[P53] 介護保険施設入所者の口腔管理と歯科との連携に関する質問調査

○山中 佑介1、日置 章博1、宮本 佳宏1、森田 知臣1、小川 雄右1、富田 喜美雄1、上野 智1、籾山 正敬1、南 全1、朝比奈 義明1、武藤 直広1、鈴木 雄一郎1、冨田 健嗣1、森 幹太1、渡邊 俊之1、内堀 典保1、丹羽 浩1 (1. 愛知県歯科医師会)

【目的】
 老人施設入所者の口腔管理の充実には、施設における歯科の介入状況の把握が必要であるが、実態を表す資料はほとんどない。愛知県歯科医師会では愛知県の委託事業として介護職員の口腔ケアの向上を目的として「介護職員口腔ケア研修会」を開催している。介護保険施設で実際に行われている訪問歯科医療の現状について把握するために、受講された介護保険施設職員を対象に質問票調査を行った。
【方法】
令和元年から4年の受講者255名に自由意思によるアンケート調査を行った。データは無記名により匿名化されており倫理面に配慮した。またデータについて、今後行われる学術大会や研究会等で発表させていただくことやアンケート記載はご自身の意思に基づき記載していただき、お断りになっても不利益となることはありません等十分な説明を行った。
【結果と考察】
 受講者の本研修会を受講した目的は「必要性を感じたため」また「施設上司からの勧め」の回答が多く、受講者自身や施設が口腔ケアを積極的に受け入れ、取り組む傾向がみられた。研修内容項目で介護業務に役立つものは「口腔ケア」の回答が多かった。また「施設では入所者の口腔ケアや異常に対し、相談できる協力歯科医はいますか」の質問に関して「いる」と答えたのは全体の78%であり、ほとんどの施設の口腔ケアに歯科医師や歯科衛生士が関与しており、う蝕や歯周疾患の予防管理が講じられていた。しかし、研修内容項目の「摂食嚥下リハビリテーション」への関心は少なく、「協力歯科医、歯科衛生士による食事支援をどの程度行っていますか?」の質問に対しても「行っていない」は78%であった。このことから、ほとんどの施設では口腔機能に対する評価の一つとしてミールラウンド等の摂食嚥下評価を行っている協力歯科医師がいない状況であることが示唆された。近年経口摂取が困難な要介護高齢者が増加していることから、口腔機能の評価の重要性は高まっている。受講者の多くが介護福祉士であり口腔機能低下に対して気づきや対応が必要である。また協力歯科医も口腔機能評価が実践できることが要求される。高齢期における人とのつながりや生活の広がり、共食といった「社会性」を維持することは、多岐にわたる健康分野に関与することが明らかとなっており、歯や口腔機能の健康も含まれている。口腔機能の低下はフレイルとも関連が強いことから、う蝕や歯周疾患を防ぐための口腔ケアを行うのはもちろんのこと、口から食べる機能をしっかりと評価し、機能回復に対して介入していけるように研修会内容を見直し協力歯科医師と施設職員の充実した連携が望まれる。(COI開示:なし)(倫理審査対象外)