[P56] 周術期胃がんおよび食道がん患者における術後の経口摂取と口腔機能変化との関連性
【目的】
周術期では手術の侵襲により全身の筋力が低下しやすい。全身の筋力低下は,術後の合併症リスクを高めると報告されている。口腔機能の低下は全身状態に関係するため,術後の口腔機能の維持は重要である。ただ,周術期口腔管理として,術後の感染予防のために口腔衛生管理が実施されているが,周術期における口腔機能の管理に関する報告は少ない。本研究では胃がんおよび食道がん患者における周術期の口腔機能の変化と非経口摂取との関連性について検討した。
【方法】
2018年8月から2021年3月までに胃がんおよび食道がんに対する手術目的にて某大学病院に入院した患者で,周術期口腔機能管理目的にて歯科・口腔外科外来に依頼のあった患者のうち,同意が得られ,術前に経口摂取をしている者を対象とした。術前日および術7日後に口腔機能低下症の7項目を測定した。術7日後の摂食状態によって経口摂取群と非経口摂取群の2群に分け,両群における周術期の口腔機能の変化を対応のあるt検定にて分析した。
【結果と考察】
分析対象は胃がん患者298名,食道がん患者70名であった。経口摂取群が277名(胃がん261名,食道がん16名,女性83名),非経口摂取群が91名(胃がん37名,食道がん54名,女性16名)であった。平均(±SD)年齢は経口摂取群69.2±10.7歳,非経口摂取群67.1±10.8歳であった。経口摂取群では術後に口腔衛生状態と嚥下機能の値が有意に低下していた。一方,非経口摂取群では口腔衛生状態,舌圧,咬合力,舌口唇運動機能(kaを除く),嚥下機能の項目が術後に有意に低下していた。以上の結果より,術後に経口摂取に至っていない患者では,口腔機能が有意に低下していることが明らかになり,周術期における非経口摂取状態の継続は口腔機能低下のリスクを高めることが示唆された。口腔機能低下は,経口摂取や合併症リスクにも関与することから,周術期がん患者に対して,口腔衛生管理だけでなく,口腔機能管理も重要であることが考えられた。
(COI開示:なし)(東京医科歯科大学 倫理審査委員会承認番号:D2-21-100)
周術期では手術の侵襲により全身の筋力が低下しやすい。全身の筋力低下は,術後の合併症リスクを高めると報告されている。口腔機能の低下は全身状態に関係するため,術後の口腔機能の維持は重要である。ただ,周術期口腔管理として,術後の感染予防のために口腔衛生管理が実施されているが,周術期における口腔機能の管理に関する報告は少ない。本研究では胃がんおよび食道がん患者における周術期の口腔機能の変化と非経口摂取との関連性について検討した。
【方法】
2018年8月から2021年3月までに胃がんおよび食道がんに対する手術目的にて某大学病院に入院した患者で,周術期口腔機能管理目的にて歯科・口腔外科外来に依頼のあった患者のうち,同意が得られ,術前に経口摂取をしている者を対象とした。術前日および術7日後に口腔機能低下症の7項目を測定した。術7日後の摂食状態によって経口摂取群と非経口摂取群の2群に分け,両群における周術期の口腔機能の変化を対応のあるt検定にて分析した。
【結果と考察】
分析対象は胃がん患者298名,食道がん患者70名であった。経口摂取群が277名(胃がん261名,食道がん16名,女性83名),非経口摂取群が91名(胃がん37名,食道がん54名,女性16名)であった。平均(±SD)年齢は経口摂取群69.2±10.7歳,非経口摂取群67.1±10.8歳であった。経口摂取群では術後に口腔衛生状態と嚥下機能の値が有意に低下していた。一方,非経口摂取群では口腔衛生状態,舌圧,咬合力,舌口唇運動機能(kaを除く),嚥下機能の項目が術後に有意に低下していた。以上の結果より,術後に経口摂取に至っていない患者では,口腔機能が有意に低下していることが明らかになり,周術期における非経口摂取状態の継続は口腔機能低下のリスクを高めることが示唆された。口腔機能低下は,経口摂取や合併症リスクにも関与することから,周術期がん患者に対して,口腔衛生管理だけでなく,口腔機能管理も重要であることが考えられた。
(COI開示:なし)(東京医科歯科大学 倫理審査委員会承認番号:D2-21-100)