一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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一般演題(ポスター発表)

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ポスター発表12
連携医療・地域医療

2023年6月18日(日) 10:25 〜 10:55 ポスター会場 (1階 G3)

座長:渡部 芳彦(東北福祉大学健康科学部)

[P65] 地域介護老人福祉施設における肺炎患者を減少させた当院の取り組み

○壁谷 玲1、二見 和臣1,2,3、内山 宙1,2,3 (1. 医療法人社団優心会 東林間歯科、2. 東京歯科大学 老年歯科補綴学講座、3. 東京歯科大学 千葉歯科医療センター)

【目的】
 地域歯科医療で求められる訪問歯科診療の役割は多岐にわたる。歯の喪失や義歯が原因で咀嚼困難になった患者への治療対応および肺炎予防を求められることが多くある。今回我々は相模原市の介護老人福祉施設において口腔衛生管理および摂食嚥下障害の治療を含む歯科治療を実施し良好な結果が得られたため,この取り組みの報告行うこととした。
【方法】
 令和3年6月から令和4年12月までの相模原市の介護老人福祉施設(定員90名)の入居者 62名(平均年齢86.9歳)に対しミールラウンド,摂食嚥下障害の治療,齲蝕と義歯の治療,口腔衛生管理指導の集計を行った。加えて対象施設の誤嚥性肺炎患者の推移と対象施設職員に対し,当院に求めていることを無記名のアンケートで確認した。アンケートへの協力については施設職員への自由意志に委ね,回答しなかった場合の不利益がないこと,学会や論文発表に使用することを提示し説明した。
なお,本報告の発表について施設から同意を得ている。
【結果と考察】
 ミールラウンドは33人,摂食嚥下障害の治療は2人,齲蝕と義歯の治療は10人および口腔衛生管理指導は21人であった。令和1年では10名,令和2年では8名であった誤嚥性肺炎と診断された入居者が,介入を始めた令和3年から3名に減少した。摂食嚥下障害や咀嚼障害に対する治療に加え,ミールラウンドを月に3~4回および歯科衛生士による毎週の口腔衛生管理指導を行ったことが,誤嚥性肺炎患者を減少させた理由として考えられる。さらにアンケート結果から施設職員が利用者の細部への口腔清掃指導を歯科衛生士に望む意見が確認され,誤嚥性肺炎予防に対し高いモチベーションを持っていることが確認された。以上より当院は地域高齢者の健康増進および地域包括ケアに貢献できたと考えられる。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)