The 34th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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特別講演1
近未来の学会に託す老年歯科医学の道
ー老会員ですが心は青春真っただ中ー

Sat. Jun 17, 2023 12:45 PM - 2:15 PM 第1会場 (1階 G4)

座長:羽村 章(日本歯科大学生命歯学部高齢者歯科学 教授)

[SL1] 近未来の学会に託す老年歯科医学の道
ー老会員ですが心は青春真っただ中ー

○米山 武義1 (1. 米山歯科クリニック)

【略歴】
昭和54年 日本歯科大学歯学部卒業
昭和54年 同大学助手(歯周病学教室)
昭和56年 イエテボリ大学歯学部留学
昭和61年 日本老年歯科医学研究会発足時世話人
平成2年 米山歯科クリニック開業
平成9年 歯学博士(奥羽大学)
平成10年 日本老年歯科医学会 理事
平成16年 医学博士(浜松医科大学)
平成20年 日本老年歯科医学会 指導医
平成24年 日本老年歯科医学会 専門医
平成26年 第66回保健文化賞 受賞
令和4年 日本歯科医学会会長賞 受賞

令和5年4月現在
 浜松医科大学 東京医科歯科大学 非常勤講師
 日本歯科大学生命歯学部 臨床教授
 日本歯科大学新潟生命歯学部 客員教授
【抄録(Abstract)】
 日本老年歯科医学会の前身である日本老年歯科医学研究会の発起人の一人として本会に入会させていただいてから、早いもので37年が経過しました。その間、髪の毛は薄くなり、最近は鏡をまともに見られなくなりました。一方、気持ちはまだまだ青春で新しい研究の種を見つけようとしている自分がいます。むしろ前期高齢者であるからこそ高齢者の心や身体変化を臨床や研究活動に活かせるかもしれないと真剣に考えるようになりました。
 私が高齢者歯科医療に出会ったのは、24歳の時、友人の紹介で訪問した特別養護老人ホーム御殿場十字の園でした。スウエーデン王立イエテボリ大学での2年間の留学を経て延べ44年間その老人ホームで非常勤職員として在籍し、今では施設内で一番の長老になってしまいました。この施設との出会いは、私に老年歯科医学の扉を開かせてくれました。そして死にゆく多くの方と接し、求められる高齢歯科医療の姿とは何かを現場の中で学ばせていただきました。それは優しさであり、納得できる人生の演出に徹しなさいというメッセージでした。
 これまでの人生を振り返って、幸せだったなと思うことがあります。それは口腔衛生管理と誤嚥性肺炎発症の関係性を暗示する事象に出会ったこと、そしてこの関係性を科学的に検証するチャンスを与えてくださった東北大学名誉教授 佐々木英忠先生との出会いでした。さらに吉田光由先生をはじめ数多くの研究者との出会いでした。私が施設に通い始めた頃は入所者総数107名のうち20名前後の方が毎年お亡くなりになり、その30%から40%が老人性肺炎によるものでした。しかしその後、施設内で口腔健康管理(口腔衛生管理)が徹底するようになって肺炎でお亡くなりになる方が著しく減少し、老衰を死因とする方が相対的に増加しました。同じ施設に長年関わることで、口腔衛生管理の重要性と安全に口から食べることに重きを置く支援体制の重要性を実感しております。
 今回、大会長である菊谷武先生から貴重な発言の機会を与えていただき、「口腔健康管理と誤嚥性肺炎予防」の過去・現在・未来について、そして国民の視点から日本老年歯科医学会に期待するささやかですが大切な事項をお話させていただきたいと思います。宜しくお願いいたします。