一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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特別講演2
未来の在宅医療~歯科診療のあるべき形(かたち)について~

2023年6月17日(土) 15:10 〜 16:30 第1会場 (1階 G4)

座長:菊谷 武(日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック 院長・ 教授)

[SL2] 未来の在宅医療~歯科診療のあるべき形(かたち)について~

○市橋 亮一1 (1. 医療法人かがやき 総合在宅医療クリニック)

【略歴】
1973年愛知県出身、内科医、病理医、在宅専門医  名古屋大学医学部卒業後、名古屋第二赤十字病院(血液内科)などを経て、2009年に岐阜県内で初の在宅医療専門クリニック「総合在宅医療クリニック」を開設。現在は、在宅医療専門の医科歯科クリニックとして、スタッフ75名(医師21名、歯科医師2名、歯科衛生士2名、管理栄養士2名、言語聴覚士1名など)で、累積約3000名の患者、1600名の自宅看取りを支えてきた。2021年には医療的ケア児のための医療型短期入所「かがやきキャンプ」、2022年5月には2拠点目の名古屋市に「総合在宅医療クリニック名駅(めいえき)」を開設。
受賞歴:2019年「グッドデザイン賞(地域づくり部門)金賞」「ホワイト企業大賞」「医療福祉建築賞」
著書:「がん患者のケアマネジメント - 在宅ターミナルをささえる7つのフェーズと21の実践」(中央法規)、「在宅医ココキン帖」(へるす出版)
【抄録(Abstract)】
2040年をピークに、死亡死者数の減少が見込まれる日本の医療提供体制は、次の30年で完全に違う形に移行することが人口動態から予想される。主要な変化としては、
 ①病院から在宅医療への移行、施設で過ごす患者の増大
 ②大都市の医療ニーズの急速な増大、
 ③人口減少地域の医療過疎の急速な進行である。
以上の変化に対して医科クリニックが変化する中で、歯科クリニックとの連携や協同はどのようにあるべきなのかを考える上での前提条件になる原則を指摘しつつ、「患者さんや家族のためになる」プラクティスをどのように行っていくのが良いのかを自院での活動を通じての実際を共有する。 また、当院が多数の歯科クリニックとの連携を通じて考えた「歯科と医科の連携への10のステップ」を共有し、今後各地域で展開される歯科診療に貢献できるようにしていきたい。
以下10のステップをあげる。
1 食べることができるようになった「成功例」を見える化する
2 まず、口腔カンジダ(紅斑性カンジダ)治療で、実力を伝える!
3 在宅をやる医師に「簡単な教育のためのビラ」をつくる 医科に刺さる講義:食べなくても活用! 義歯で3割うまくいく?(口腔環境との調和) 「歯科の常識、医科の非常識」
4 歯科衛生士を半日貸し出す(口腔乾燥への対応)
5 講義をする:義歯がうまいかではない、どうやって「補装具として付き合うかだ・・・」的な講義
6 管理栄養士と連動するための方法
7 「いつでも食べることができるをめざす」ことの意味
8 診療と同じ時間に訪問を当てる(顔の見える関係)
9 食べれなくなってからが、歯科介入が大事と伝える(食べているときも勝負、食べなくなってからも勝負)
10 ACPをチームで働きかけるときのコツ