[課題1-4] 後期高齢者におけるオーラルフレイルと栄養関連指標に関する横断研究
【目的】
近年,地域包括ケアシステムの中でフレイル対策が推進されるなか,オーラルフレイル(OF)が注目されている。しかしOFへの効果的な対応は確立されていない。一方,OFと栄養との関連はいくつか報告されており,OFへの対応を確立するには栄養関連指標との関係を検証する必要があると考えた。そこで我々はOFと栄養関連指標との関係を検討することを目的に横断研究を実施した。
【方法】
2016年から2020年の5年間に鳥取県歯科医師会と後期高齢者医療広域連合が実施した,後期高齢者歯科検診を受診した2727名(男性1094名,女性1633名,平均年齢79.9±4.3歳)を分析対象者とした。検診では質問紙調査(基本情報,簡易フレイル指数,食欲質問票:Simplified Nutritional Appetite Questionnaire(SNAQ:20点満点,高いほど食欲が高い),食品摂取の多様性スコア:Dietary Variety Score(DVS:10点満点,高いほど多様性が高い))と実測調査(身体計測,口腔機能評価等)が行われた。対象者を口腔機能低下該当項目数が3項目未満であった群を健常群,3項目以上該当した群をOF群とした。OF該当(カテゴリカル変数,1:有,0:無)を従属変数とし,栄養関連指標(Body Mass Index:BMI,SNAQ,DVS:全て連続変数)を独立変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った。共変量は年齢,性別,チャールソン併存疾患指数,簡易フレイル指数,指輪っかテスト,喫煙歴,教育年数,服薬数,反復唾液嚥下テストとした。
【結果と考察】
分析対象者のうちOF群に該当したのは1208名(44.3%)であった。二項ロジスティック回帰分析の結果,OFと関連がみられた栄養関連指標は,SNAQ(1ポイント増加毎のオッズ比:0.88,95%信頼区間:0.84 –0.93),DVS(0.95,0.92–0.98)で,BMIに有意な関連は認めなかった。以上の結果から,食欲および食品摂取の多様性の低下とOFは関連しており,OFへの対応では,食欲や食品摂取の多様性も考慮した対応を行う必要性が示唆された。
(COI 開示:なし)
(倫理審査委員会承認番号:北海道大学大学院歯学研究院臨床・疫学研究倫理2020第6号)
近年,地域包括ケアシステムの中でフレイル対策が推進されるなか,オーラルフレイル(OF)が注目されている。しかしOFへの効果的な対応は確立されていない。一方,OFと栄養との関連はいくつか報告されており,OFへの対応を確立するには栄養関連指標との関係を検証する必要があると考えた。そこで我々はOFと栄養関連指標との関係を検討することを目的に横断研究を実施した。
【方法】
2016年から2020年の5年間に鳥取県歯科医師会と後期高齢者医療広域連合が実施した,後期高齢者歯科検診を受診した2727名(男性1094名,女性1633名,平均年齢79.9±4.3歳)を分析対象者とした。検診では質問紙調査(基本情報,簡易フレイル指数,食欲質問票:Simplified Nutritional Appetite Questionnaire(SNAQ:20点満点,高いほど食欲が高い),食品摂取の多様性スコア:Dietary Variety Score(DVS:10点満点,高いほど多様性が高い))と実測調査(身体計測,口腔機能評価等)が行われた。対象者を口腔機能低下該当項目数が3項目未満であった群を健常群,3項目以上該当した群をOF群とした。OF該当(カテゴリカル変数,1:有,0:無)を従属変数とし,栄養関連指標(Body Mass Index:BMI,SNAQ,DVS:全て連続変数)を独立変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った。共変量は年齢,性別,チャールソン併存疾患指数,簡易フレイル指数,指輪っかテスト,喫煙歴,教育年数,服薬数,反復唾液嚥下テストとした。
【結果と考察】
分析対象者のうちOF群に該当したのは1208名(44.3%)であった。二項ロジスティック回帰分析の結果,OFと関連がみられた栄養関連指標は,SNAQ(1ポイント増加毎のオッズ比:0.88,95%信頼区間:0.84 –0.93),DVS(0.95,0.92–0.98)で,BMIに有意な関連は認めなかった。以上の結果から,食欲および食品摂取の多様性の低下とOFは関連しており,OFへの対応では,食欲や食品摂取の多様性も考慮した対応を行う必要性が示唆された。
(COI 開示:なし)
(倫理審査委員会承認番号:北海道大学大学院歯学研究院臨床・疫学研究倫理2020第6号)