[課題2-2] オーラルフレイルチェックリストと口腔機能低下症の検査値との関連
【目的】
オーラルフレイルは高齢者の低栄養や要介護リスクとの関連が報告されており,早期から患者が自分事として捉え,口腔機能のセルフケアに取り組むことが重要である。そのため自治体や歯科医師会では,飯島らが開発した8つの質問からなるオーラルフレイルチェックリストを用いたセルフチェックが推奨されている。一方,チェックリストによってリスクありと判定された場合,歯科医院では口腔機能低下症の検査を行うことになるが,両者の関連性については十分には明らかになっていない。そこで本研究では,オーラルフレイルチェックリストのスコアと口腔機能低下症の検査値との関連を探索的に明らかにすることを目的とした。
【方法】
某病院歯科を受診し,1回目の口腔機能低下症検査を受けた患者98名(平均年齢79.3±7.9歳)が研究に参加した。年齢,性別,口腔機能低下症の検査値(口腔衛生,口腔乾燥,咬合力,歯数、舌口唇運動機能,舌圧,咀嚼機能,嚥下機能)およびオーラルフレイルチェックリストの総スコア(OFI-8)を診療録より抽出した。まず,OFI-8と口腔機能低下症の各検査値,該当項目数との相関関係を解析した。その上で,低リスク群(OFI-8<2),中リスク群(OFI-8=3),高リスク群(OFI-8>4)の3群に分け,口腔機能低下症の各検査値を群間比較した。統計学的手法はSpearmanの相関分析,ANOVA,Kruskal-Wallis検定を用い,多重比較にはTukey法,U検定(Bonferroni調整)を用いた。
【結果と考察】
OFI-8と口腔乾燥,咬合力,歯数,舌口唇運動機能(タ,カ),咀嚼機能に有意な正の相関関係,嚥下機能と該当項目数に有意な負の相関関係を認め、OFI-8は口腔機能低下症の検査値や該当項目数とも有意な関連があった。3群の比較では,リスクが高くなるにつれ,咬合力,歯数,咀嚼機能,嚥下機能の悪化を認め,該当項目数も増加した。特に,低・中リスク群間の比較では,咀嚼機能と該当項目数に有意な差を認め,OFI-8は咀嚼機能低下と口腔機能低下症の重症化の検出に有用である可能性が示唆された。以上より,OFI-8は口腔機能低下症のセルフチェックとしても有用である可能性が示唆された。
(COI開示:なし)
(昭和大学 倫理審査委員会承認番号 21-075-B)
オーラルフレイルは高齢者の低栄養や要介護リスクとの関連が報告されており,早期から患者が自分事として捉え,口腔機能のセルフケアに取り組むことが重要である。そのため自治体や歯科医師会では,飯島らが開発した8つの質問からなるオーラルフレイルチェックリストを用いたセルフチェックが推奨されている。一方,チェックリストによってリスクありと判定された場合,歯科医院では口腔機能低下症の検査を行うことになるが,両者の関連性については十分には明らかになっていない。そこで本研究では,オーラルフレイルチェックリストのスコアと口腔機能低下症の検査値との関連を探索的に明らかにすることを目的とした。
【方法】
某病院歯科を受診し,1回目の口腔機能低下症検査を受けた患者98名(平均年齢79.3±7.9歳)が研究に参加した。年齢,性別,口腔機能低下症の検査値(口腔衛生,口腔乾燥,咬合力,歯数、舌口唇運動機能,舌圧,咀嚼機能,嚥下機能)およびオーラルフレイルチェックリストの総スコア(OFI-8)を診療録より抽出した。まず,OFI-8と口腔機能低下症の各検査値,該当項目数との相関関係を解析した。その上で,低リスク群(OFI-8<2),中リスク群(OFI-8=3),高リスク群(OFI-8>4)の3群に分け,口腔機能低下症の各検査値を群間比較した。統計学的手法はSpearmanの相関分析,ANOVA,Kruskal-Wallis検定を用い,多重比較にはTukey法,U検定(Bonferroni調整)を用いた。
【結果と考察】
OFI-8と口腔乾燥,咬合力,歯数,舌口唇運動機能(タ,カ),咀嚼機能に有意な正の相関関係,嚥下機能と該当項目数に有意な負の相関関係を認め、OFI-8は口腔機能低下症の検査値や該当項目数とも有意な関連があった。3群の比較では,リスクが高くなるにつれ,咬合力,歯数,咀嚼機能,嚥下機能の悪化を認め,該当項目数も増加した。特に,低・中リスク群間の比較では,咀嚼機能と該当項目数に有意な差を認め,OFI-8は咀嚼機能低下と口腔機能低下症の重症化の検出に有用である可能性が示唆された。以上より,OFI-8は口腔機能低下症のセルフチェックとしても有用である可能性が示唆された。
(COI開示:なし)
(昭和大学 倫理審査委員会承認番号 21-075-B)