第17回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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シンポジウム

[SY4] 働き方(キャリア)の多様化を考える-至高のクリティカルケアを目指すための多様な活動-

座長:櫻本 秀明(茨城キリスト教大学 看護学部)、濱本 実也(公立陶生病院 看護局)

[SY4-04] [シンポジウム] 看護におけるITツール活用の可能性 
ー看護師の業務オペレーションを支援するITツールの開発者としてー

○澤田 優香1、簗取 萌2 (1. 株式会社OPERe(オペリ)、2. 一橋大学大学院 経営管理研究科)

Keywords:業務改善、テクノロジー、働き方改革、コロナウイルス、COVID-19、IT、ナースコール


 新型コロナウイルス感染症患者と遠隔コミュニケーションができるアプリケーションツール「ちょいリク」の開発に至るまでの経緯と、実際の病院での運用から得られた気づきについて報告する。
ヘルスケア領域において、看護師の業務は他の職種以上に大きく変化している。最近の出来事でいえば、「特定行為に係る看護師の研修制度」や「麻酔看護師推進」がある。いずれも従来の看護師の業務範囲を大きく拡大するものである。加えて、昨年からのコロナ禍において、現場の看護師には今まで以上に様々な業務負担が生じている。
 そのような拡大を続ける看護師の業務のあり方に対して、私は重大な懸念を抱いている。看護師の業務範囲は、いったいどこまで拡がるのだろうか。全て担うことができればいいが、リソースには限界がある。超高齢化社会に伴う医療需要の増加と労働人口の減少を考えると、看護業務の「選択と集中」は不可欠ではないだろうか。
 そのために、看護師に対する外部からの支援は欠かせない課題である。近年では、医療・介護スタッフを支援するIT技術が積極的に導入され始めている。例えば、ダビンチ手術や、ロボットスーツは注目されて久しい。そのような技術とは別に、IT技術が看護師を支援できる可能性も高いと考える。そこで、私は、業務の流れ(Operation)を刷新(Renew)する事業「OPERe(オペリ)」を立ち上げ、看護師一人ひとりの価値を最大化するためのITツールの開発を行なっている。
 昨年、新型コロナウィルスが拡大し始めた際には、新型コロナウイルス感染症患者と遠隔コミュニケーションができるツール「ちょいリク」を開発し、複数病院での導入および運用をサポートしてきた。その開発過程では、病棟看護師が新型コロナウイルス感染症の入院患者の生活の世話に全責任を負わなければならず、本来外業務に忙殺されている現状が明らかになった。そのような現場の問題に対応するために、ITツールの活用を通じて「看護師の本来外業務」を徹底的に整理した。その結果、コロナウィルス病棟の看護師の業務を大幅に改善することができた。今後は他の入院病棟にもこのツールを拡大する予定である。
 さらに今年は、入院オリエンテーション業務を支援するアプリケーションを開発している。このアプリを使えば、入院予定の患者はいつでもどこでも入院の説明を受けることができ、病院スタッフと気軽に連絡を取ることができる。このアプリも、看護師を支援する強力なツールとなると期待している。
 現状、看護師が担える業務の範囲や量はすでに限界がきているのではないだろうか。そのような状況を打開して、一人ひとりの看護師が生き生きと看護に取り組むためには、新たな選択肢が必要であると考える。我々のサービスが選択肢の1つとして選ばれるよう、誠実かつ現場主義に基づく事業展開を心掛けていきたい。