第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

プラクティスセミナー(オンデマンド)

[WS2] プラクティスセミナー(オンデマンド配信)

2022年6月12日(日) 09:00 〜 14:00 プラクティスセミナー (オンデマンド配信)

13:00 〜 14:00

[WS2-05] 経腸栄養に対する不耐症対策
たまごが先か、にわとりが先か!? −重症患者の栄養療法の謎−

○巽 博臣1 (1. 札幌医科大学医学部集中治療医学)


キーワード:栄養療法、経腸栄養、腸管不耐症

重症患者に対する栄養療法、特に経腸栄養の有用性が広く認識されている。重症患者の栄養療法ガイドラインが発表され、それに基づいた栄養療法を行うことを一つの条件として集中治療室における早期栄養介入管理加算も算定できるようになった。2022年度からは対象は救急にも拡大され、静脈栄養でも算定できるようになったため、栄養アセスメントや適切な投与経路・投与量・栄養剤の選択はさらに重要となってきた。一方で、栄養療法に伴う問題点、特に経腸栄養に伴う消化器合併症(腸管不耐症)についての対応はガイドラインに記載されてはいるものの、あまり具体的なことは記載されていないため、経腸栄養投与を中止したり、諦めたりするケースも少なくないであろう。
 当院ICUでは重症患者に対して、経鼻空腸チューブを留置しての積極的な経腸栄養投与を1989年から開始し、2005年からは経胃投与をfirst choiceとして経腸栄養を行っている。そのため、消化器合併症への対応はある程度確立していると感じている。本講演では、栄養療法に関する「たまごが先か、にわとりが先か!?」、すなわち、
「重症だから栄養状態が悪いのか、栄養状態が悪いから重症化するのか!?」
「腸が動かないから経腸栄養ができないのか、経腸栄養しないから腸が動かないのか!?」
「経腸栄養のせいで下痢なのか、経腸栄養しなくても下痢なのか!?」
「蛋白負荷のせいでBUNが高いのか、蛋白を入れないからBUNが高いのか!?」
「重症だから脂肪を入れないのか、脂肪を入れないから調子悪いのか!?」
などの疑問点の解決の糸口をみつけていただけるよう、当院ICUにおける栄養療法の考え方、腸管不耐症への対応、栄養剤の選択などの実践的な方法について紹介する。