一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

R4:地球表層・環境・生命

2022年9月19日(月) 09:00 〜 12:00 B253 (総合教育研究棟 B棟2F)

座長:福士 圭介(金沢大学)、横山 正(広島大学)、宇都宮 聡(九州大学)

09:15 〜 09:30

[R4-02] 岩石内部の水の浸潤と空気の溶解の速度の間隙径依存性

*横山 正1、新宅 郷生3、西山 直毅2 (1. 広島大・院先進理工、2. 産総研、3. 広島県庁)

キーワード:間隙径、浸透、空気のトラップ、毛管圧

岩石への水の浸潤に伴い,どのサイズの間隙がどのような順序で水で満たされているかを調べた。実験には,ほぼ石英のみからなるフォンテーヌブロー砂岩を用いた。主な間隙半径は数µm~数十µmであり,半径約10 µmの間隙が卓越する。試料に一定水頭差下で水を流し,ときどき全体の水飽和率(間隙中を水が満たす割合)を確認し,水飽和率を63~100%の間で調節した。各水飽和率において,「水押し出し法」で間隙半径毎の水の量を測定した。その結果,水を流しはじめるとすぐにどの間隙径にもある程度の量の水が入り,全体の水飽和率は63%になった。その後,全体の水飽和率が上がるにつれて,先に細い間隙が水で満たされ(細い間隙中の空気が先に消滅),遅れて太い間隙も水で満たされていく傾向がみられた。間隙中の空気の多くは,周囲の水に“トラップ”された状態で存在する。細い間隙中の空気が先に消滅する理由として,間隙が細いほど強い毛管圧が生じるため,トラップされた空気の内圧が高くなり,結果として,細い間隙中の空気ほど間隙を流れる水(大気と平衡)への溶解度が上がり空気の溶解速度も大きくなったと考えられる。