一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

R4:地球表層・環境・生命

2022年9月19日(月) 09:00 〜 12:00 B253 (総合教育研究棟 B棟2F)

座長:福士 圭介(金沢大学)、横山 正(広島大学)、宇都宮 聡(九州大学)

10:00 〜 10:15

[R4-05] プラントオパールに含まれる有機分子のシリカナノ粒子形成への寄与

山崎 望1、*川野 潤1、尾崎  紀昭2、三輪 京子3、永井 隆哉1 (1. 北大・院理、2. 秋田県立大・生物資源、3. 北大・院環境)

キーワード:プラントオパール、ケイ化作用

イネ科植物は、含水非晶質シリカを多量に集積することが知られている。近年、イネ科ソルガムからケイ酸重合活性を示すタンパク質が発見され、植物においても有機分子の関与するシリカ形成プロセスの可能性が示唆されるようになったが、そのような有機分子がどのようにシリカ形成に関与しているかは不明である。本研究では、ケイ酸重合活性を示すペプチドを用いて合成したシリカについて解析を行い、イネ科植物中のケイ酸重合過程における有機分子の働きを明らかにすることを目的とした。合成実験の結果、シリカの析出にはpH依存性があり、pHが6~8の条件では、実際のプラントオパールにも見られるようなナノ粒子が形成されたのに加え、pHの上昇に従い粒子径が連続的に小さくなることが確認された。さらに、赤外分光分析からSiO4四面体の四員環/六員環比を計算した結果、pH 6~8で形成するナノ粒子析出物の四員環割合は約75%でほぼ一定となり、ペプチドを添加せずに合成した試料よりも高い値を示した。この結果は、植物由来の有機分子により、形成するシリカ構造に明確な重合促進の特徴が現れることを示しており、有機物の関与を裏付ける着目点となり得る。