一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

R4:地球表層・環境・生命

2022年9月19日(月) 09:00 〜 12:00 B253 (総合教育研究棟 B棟2F)

座長:福士 圭介(金沢大学)、横山 正(広島大学)、宇都宮 聡(九州大学)

11:00 〜 11:15

[R4-08] 魚類耳石を構成するvateriteの結晶学的特徴

「発表賞エントリー」

*高橋 玄1、奥村 大河1、永冶 方敬1、鈴木 道生2、小暮 敏博1 (1. 東大・院理、2. 東大・院農)

キーワード:バイオミネラリゼーション、炭酸カルシウム、ファーテライト、耳石

一般的な硬骨魚類には礫石、扁平石、星状石と呼ばれる3種類の耳石があるが、礫石と扁平石はaragonite、星状石はvateriteというように異なる結晶多形をもつことが多い。本研究では星状石におけるvateriteの形成機構を解明するため、その結晶学的特徴を調べた。試料には金魚(Carassius auratus)の星状石を使用し、また比較のため無機的に合成されたvateriteの分析も行った。これらのvateriteの間では、XRDにおけるピーク位置やTG-DTAにおけるcalciteへの転移温度に違いは見られなかった。EBSDやTEMによる分析からは、結晶がai軸方向へ伸長する点や微結晶のモザイク構造である点が共通していることが明らかになった。よって、結晶成長という観点では、星状石を構成するvateriteはそれ自身がもつ結晶学的特徴に従って成長していると考えられた。