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[R4-10] Na置換によるあられ石の軸率変化
キーワード:あられ石、ナトリウム、格子定数、軸率、合成実験
一部の生物起源あられ石では、無機的に形成されたあられ石とは格子定数が異なることが知られている。特に軸率(a/bおよびc/b)がNaの含有量と相関して増加することから、生物起源あられ石における軸率変化はNa+によるCa2+の置換が原因であると考えられている。本研究では、Na置換が軸率の変化を起こすことを確かめるため、Naイオン存在下においてin vitroであられ石を合成し、形成された結晶の格子定数を調べた。様々なNaイオン濃度で合成した結晶の軸率を測定すると、Na含有量が多くなるに従って軸率も増大することが確認された。合成した結晶を電気炉で250°Cまで加熱し再度格子定数を測定すると、非生物起源あられ石と同等な値に戻った。これは結晶中に固溶していたNaが加熱により拡散し、結晶格子から抜けたためと考えられる。以上のように、in vitroでの合成実験からも生物起源あられ石に見られる特徴的な軸率変化はNa+によるCa2+の置換が原因であることが示唆された。これに伴う電荷の補償については、Clの含有量は非常に低いことから、重炭酸イオンや空孔の導入の可能性が考えられる。